この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

「来週の会議、リアルですか?」
そんな会話が交わされるようになったのはコロナ以降のこと。かつて会議といえば“会議室に集まる”のが当たり前で、わざわざ「リアル」などと断る必要はなかった。
だが、Zoomなどでのオンライン会議が日常となった今、従来の「会って話す」スタイルがむしろ特別なものになっている。
イシス編集学校は創立時より「会って話す」より「会わずに話す」から始まるインターネット学校だ。しかし、ソーシャルメディアネイティブの近大生にはあえて、そうじゃない方の稽古から始めた。
近大・東大阪キャンパスで、開講2日目から4日間のリアルサポートを実施した。初めての試みだ。
Day1 リアルサポート 始めます
「ビブリオシアター2階のACT-421でお待ちしています~」
稽古Dayを終えた翌日、模造紙や付箋を用意して学林局の衣笠純子は近大生に呼びかけた。しかし来たのはたった1人。「編集力で差をつけろ」と書いたポスターが泣いているようだ。
「編集力で差をつけろ」とかっこいポスターが(写真は3日目の様子)
編集相談はいつの間にか就活相談!思考のクセに気づくことは、編集力にも就活力にもよく効きます♪
Day2 編集の館 誕生!
002番のお稽古が出題され6名が訪れた。大盛況!通常のお稽古は回答した後、師範代から指南が届くのに数時間かかる。しかし、ここはリアルサポート。回答を見ながらその場で回答を分析して、アドバイスをくれる。占い師さながらの編集カウンセラー★衣笠に行列ができた。
Day3 マーキング読書法に注目
お笑いの構成作家や、企画に興味がある今日の2人はマーキング読書法に興味しんしん。
スマホ・PCと異なるツールで『マーキング読書法』閲覧中
松岡校長は動画でこう述べている。
書物というものは、どうやってつきあっていくのか、それは人とおんなじなんですね。あるいは洋服、食べ物と同じです
本を読んだり書いたりするのに編集は欠かせないが、書物も着物も食物も同じ!?生活のすべてに通じる編集力とは、社会で生きぬく力そのものなのだ。
Day4 エディットはいつでもリアル
最終日は4人が訪れた。003番が出題されフィルターという型に近大生たちは「おもしろそう」「なんかつかえそう」とすこしずつ稽古のペースをつかんできたようだった。4日間のリアルサポートは終了。ここからはリアルな生活をしながらエディットカフェ上での稽古が続く。
私は、その何かによって〝保存〟され、何かによって〝関係〟を続行させている当体を、私の造語で〈エディトリアリティ〉(editoreality)とよんでいる。すなわち「編集的現実感」というものだ 『知の編集工学増補版』松岡正剛
言葉を使って他者に見せる自分はいつだってリアル。6月の稽古Dayまでは、エディットカフェでたくさんのエディトリアリティに出会おう!
アイキャッチ/稲森久純(55[守]師範代)
文/一倉広美(55[守]師範)
週刊キンダイ 連載中!
イシス編集学校 [守]チーム
編集学校の原風景であり稽古の原郷となる[守]。初めてイシス編集学校と出会う学衆と歩みつづける学匠、番匠、師範、ときどき師範代のチーム。鯉は竜になるか。
乱世には理想に燃える漢が現れる。 55[守]近大番に強い味方が加わった。その名もハンシ。「伴志」と書く。江戸時代の藩を支えた武士のようであり、志高く新時代を切り開いた幕末の志士のようでもある。近大番が、 […]
週刊キンダイ vol.004 ~近大はマグロだけじゃない!~
マグロだけが、近大ではない。 「近大マグロ」といえば、全国のスーパーに並び、飲食店で看板メニューになるほどのブランド。知名度は圧倒的だ。その名を冠した近大生だけの「マグロワンダフル教室」が、のびのびと稽古に励むのもう […]
日刊ゲンダイDIGITALに「本屋はワンダーランドだ!」というコラムがある。先日、イシス編集学校師範の植田フサ子が店主をする青熊書店が紹介された。活気ある商店街の横道にあるワンダーランド・青熊書店を見つけるとはお目が高 […]
週刊キンダイ vol.001 ~あの大学がついに「編集工学科」設立?~
3年前の未来予想図が現実になった?! 大学の新学科として「編集工学科」が新設。 千夜千冊は2000夜間近、千夜千冊エディションは35冊目が発売。 EdistNightなう〜3年後、イシスは何を?(2022/02/25) […]
「ミドルシニアのみなさんも遅いことはありません。ぜひチャレンジしてほしい」 この遊刊エディストに、四人の[守]師範たちがイシス編集学校を語るバナーが添えられている。ご覧になっただろうか?その中のひとり奥本 […]
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。