この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

この春オープンした「多読ジムClassic(25春)」も、数日のアディショナルタイムを経て、5月28日に今シーズンを無事に終了しました。3つのトレーニングお題を一挙出題! という初の試みのなか、好きなお題から、自由に行ったり来たり、自分のペースで回答を進めてくれました。そんな多読ジムClassic25春(通称:タドクラ)の活動報告をしたいと思います。
タドクラは、多読アレゴリアのクラブ活動のひとつ。「読む力=読筋(どくきん)」を鍛える、クラブ活動なのにジム(Gym)でもあるちょっとユニークな“読書ジムクラブ”です。クラブでは、読筋を鍛える3つのトレーニングメニューをご用意しています。
1.ブッククエスト:松丸本舗でおなじみBSEチーム厳選の課題本リストから選んだ「キーブック」3冊を起点に、12冊〜39冊の自分だけの本棚「私の本棚」をつくります。今期はこの本棚づくりがとても盛り上がりました!
2.エディション読み:松岡正剛『千夜千冊エディション』をじっくり読みこみ、最後にはメディア化にも挑戦します。
3.三冊筋プレス:3冊の本を深く読み込み、自分の思考を言葉にする「知文」を書くトレーニングです。
ブッククエストでは「私の本棚」を創っていくわけですが、本棚づくりと言えば、松岡正剛が手がけた松丸本舗や、角川武蔵野ミュージアム、近大図書館の本棚を思い出される方もいらっしゃると思います。多読アレゴリアの中にもシェア型本屋の本棚オーナーや実際に本屋まで開かれた方もいらっしゃいますね。
我々がつくるのはそんなリアルな本棚ではなく構想までになりますが、それでも、選書の背景、並べ方、読み筋、すべてに“その人らしさ”が表れる、世界に一つだけの本棚つくりは、多くの編集要素を持ち、我々の読筋を鍛えてくれます。
今期出来上がった本棚を一つ紹介します。多読ジムClassicの冊師(トレーナー)もされている畑勝之さんの本棚です。
・日本人の神社信仰
・アメリカを受け入れてた近代の日本
・東アジアの現代史
こうした3冊から広がった本棚が以下の本棚です。知の階層や文脈が丁寧に織り込まれていて、見るだけでも発見があります。
一度やってみると、これがなかなか奥深い。本同士の関係をどう結ぶか、読む人をどう案内するか。本棚は、読む人との“対話の場”でもあります。そして、メディエーションと言えばタドクラで段々と盛り上がりつつある「エディション読み」のPOP制作お題。今回もこんな作品が出来上がってきました! ポイントとなる画像作成は、生成AIを使っています。
各POP制作者のコメントは、以下のタドクラのインスタから読めますので是非チェックしてみてください。その他、「エディション読み」のマーキングの様子や来期の課題本についても載っています!
▼タドクラInstagram
https://www.instagram.com/isistadokura/
本との出会い、自分の興味の再発見、そして他のメンバーとの知の共有。タドクラで、そんな体験が待っています。そして、現在、「多読ジムClassic(25夏)」では、まだまだクラブメンバーを募集中です!(6/9(月)タドクラ開講)
・ちょっとだけ参加してみる
・がっつり読んで、読筋を鍛えまくる
どちらも大歓迎。
読書を通じて、自分の“思考の地図”を広げてみませんか?「私の本棚」、「千夜千冊エディションPOP」、ぜひあなたも一度、つくってみてください。
以上、タドクラ25春の活動報告でした。
《多読アレゴリア2025夏 多読ジムClassic》
【定員】100名まで
【申込】https://shop.eel.co.jp/products/tadoku_allegoria_2025summer
【開講期間】2025年6月2日(月)~8月24日(日)
【受講資格】どなたでも受講できます
【受講費】月額11,000円(税込)
※ クレジット払いのみ
※ 初月度分のみ購入時決済
以後毎月26日に翌月受講料を自動課金
例)2025夏申し込みの場合
購入時に2025年6月分を決済
2025年6月26日に2025年7月分、以後継続
募集開始★多読アレゴリア 2025・夏スタート!!!!!!!
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写真仲間求む!編集術でカメラと戯れる【倶楽部撮家】が多読アレゴリアにやってきた
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▼勝手にアカデミア
▼軽井沢別想フロンティア
▼大河ばっか!
▼EDO風狂連
▼よみかき探Qクラブ
▼終活読書★四門堂
▼身体多面体茶論
▼多読ジムClassic
「私の本棚、続々誕生中!」
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
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2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。