この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

多読ジム、読衆インタビュー第二弾(第一弾はこちら)。season01からトレーニングに邁進中のゴールドメンバー。ジムの扉を開いたきっかけは、息子さんが通う学校だったという。
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椿和恵さん(season05スタジオNOTES)神奈川県在住、season01から参加
【独読から多読、継続はチカラなり】
編集学校との出会いは、息子が通う高校の図書館主催で行われていた読み書き講座【OBI-1】に保護者参加し、リコメンド文を帯にしたのが楽しかったから。
そんな講座を再体験してみたかったからというのが受講理由だという。目次読書、三冊屋、先達文庫などの読書ツールには、読みを広げつつ深める
秘密がある気がしていた。そんな矢先、多読ジムの受講案内をみて、継続型の読み書き講座であること、自分のペースで独習かつ、時々共読する流れに乗ると、結果的に多読ができるのではないかと申込みした。
読書は一人でするものだけれど、時々共読する人がいて感動を分かち合えるという不思議な講座です。
画像:season04ブッククエストお題より、椿さんが選んだ12冊をリアル本棚に設えた。
一番印象に残った本は『私の家は山の向こう』のテレサ・テン。そこで、テレサを中央に配置し、上段に中国・台湾の歴史と民衆の想いの詰まった本を並べ、左側にAmazonや介護施設で働く労働者(日米英)についてのルポルタージュの本を、右側にイラク戦争の政治的背景とイラク市民から見た戦争の本を並べました。
本棚を見る人の視線がテレサに集まるようにし、アジア発でテレサに各国の近現代史を教えてもらうような構図にしました。
写真と一緒に読んだ記憶がよみがえるように、願わくば内容も蘇るように、秋の本棚の記憶として。
∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞
【増岡麻子冊師からのメッセージ】
多読ジムがスタートした2020年1月。椿さんは、右も左も分からぬまま生まれた<スタジオこんれん>を訪れてくれました。当初のスタジオメンバーには、木村月匠をはじめ、編集学校の先輩たちがずらり。肩を並べて読み書きをするのは不安も大きかったことでしょう。しかし、真摯なトレーニングは次第に輝き、加速しました。season04でスタジオこんれんで再会したときには本選びから、マーキング、知文のトレーニングまで自分のペースを保ちつつ、仲間の読み書きもインプットする懐の深さに頼りっぱなしの3カ月でした。
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多読ジム season06 春は2021年4月12日(月)スタートです。
申込締め切り3月31日(水) 申込はこちらから
https://es.isis.ne.jp/gym
増岡麻子
編集的先達:野沢尚。リビングデザインセンターOZONEでは展示に、情報工場では書評に編集力を活かす。趣味はぬか漬け。野望は菊地成孔を本楼DJに呼ぶ。惚れっぽく意固地なサーチスト。
【5月22日参加募集中!】ISIS FESTA SP多読アレゴリア・武邑光裕篇 「記憶の地図と書物の新世紀」~21世紀のアルスとムネモシュネアトラスへ~
現代において、生成AIの進化は、私たちの記憶のあり方に大きな変化をもたらしつつある。中世以降、「記憶術」は記憶に場とイメージを刻み込み、個人の内的世界を構築するアルス(技術)であったのに対し、生成AIデバ […]
SUMMARY 私たちが食べてきたものとは何か。思い返すとそこには過ごしてきた日々の記憶がつき纏う。例えばおやつには家族や友人とのエピソードが潜んでいて、おやつを前にすると誰もが子どもの表情に戻る。小川糸が紡ぐ生死が混 […]
【三冊筋プレス】ブルーとイエローのプロジェクション(増岡麻子)
それは「うつ」だろうか ロシアのウクライナ侵攻、安倍晋三元首相銃撃事件、2022年は悲惨な事件や事故、戦争の映像を多く目にした一年だった。否応なしに目に入ってくる悲惨な場面に心が疲弊した人も多く、私 […]
本から本へ、未知へ誘う「物語講座」&「多読ジム」【79感門】
感門之盟の終盤、P1グランプリの熱も冷めやらない中、木村久美子月匠が、秋に始まる【物語講座】と【多読ジム】を紹介した。 このふたつのコースは守・破の集大成ともいえる。「師範、師範代経験者にこそ受講して、共に […]
<多読ジム>Season10・春の三冊筋のテーマは「男と女の三冊」。今季のCASTは中原洋子、小路千広、松井路代、若林信克、増岡麻子、細田陽子の面々だ。男と女といえば、やはり物語。ギリシア神話、シェイクスピア、メリメ、ド […]
コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。