たった1時間で新書1冊が読める!目次読書ワークショップが始動。初回、大盛況。

2022/07/19(火)12:30
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今年の夏、毎月第3日曜日の午前中が見逃せない。わずか1時間のあいだに本が1冊読めるワークショップ [共読Online] がスタートした。実際には、1冊読むだけではない。他にも2冊が立ち読み感覚で味わえる。

 

これはもともと、読書筋を鍛える[多読ジム]の参加者内で、研鑽の場として開催していたものだ。内容の充実度からも、ジム内のみに閉じておくのはもったいないと企画された。イシス編集学校が初めての方でも、読書に関心があればどなたでも無料で参加できるスタイルにして、7月17日(日)から始まった。

 

今回は、松井路代冊師がナビゲート、畑本ヒロノブ冊師がチャット番を担当、大音美弥子冊匠がZoomホスト役をつとめた。総勢55名が、未読の書籍を1冊ずつ手にワークショップに参加した。

 

 

今後、初めての方が安心して参加できるよう、ワークショップの流れをご紹介しておこう。

 

1:目次読書法の解説
まず、奈良県から参加の松井冊師による目次読書法の解説から始まった。多読ジムや目次読書法は、イシス編集学校の松岡正剛校長が開発した方法だ。

 

このワークショップでは、目次読書をする上で最低限押さえておきたいこと:「目次読書法がうまれた背景」、「情報編集の4つのプロセス」、「読前・読中・読後」、「キーワード・ホットワード・ニューワード」などについて知ることができる。

 

本の読み方は多様です。アスリートのように読む、ワインを飲むように読む、温泉で温まるように読む、書くために読む。……つまり読書も編集です

 

畑本冊師からは、音読で、『多読術』(松岡正剛著)の重要な部分が共有され、参加者の方々と本の読み方について学びを深めていく。


2:ひとりで目次読書ワーク
続いていよいよ、一人一人が用意した書籍を目次読書していく。新書が推奨されるが、目次がしっかりしていれば文庫や単行本も可能だ。

 

この本を読みたいなという気分になることが必要になります。手に持った感触、見た目など、本の中身に入る前にも、本にまつわる情報を得ることができます

 

松井冊師のナビゲーションにより、あの手この手で本の情報を読み解いていくワークが、短時間にいくつも用意されている。Zoomに集まった参加者たちは、手順を追って、おのおのの場所で自分が選んだ書籍に目を通していく。頭をかきながら、腕を組みながら、天井を見つめながら、目次読書にとりかかりはじめた。

 

「目次読書法」というだけに、鍵は「目次」にある。目次を集中して読みこみ、本の構造をとらえる。得られた情報を活かして、さらに深く本の内容を推測していく。加えて、本をスキャンするかのようにズワーっと全体に目を通していく。

 

最後に、本から得た情報をまとめ、ひとりの作業はここまでで終了だ。この「本情報のまとめ方」にも、イシス編集学校ならでは方法がある。これは、実際に次回以降の目次読書ワークショップに参加して、ご自身でぜひ手にしてほしい。

 

正解はないので、感じる読書でどうぞ

 

松井冊師のコメントに大きくうなづきながら、ご参加のみなさんがスムーズに進めている様子がZoom越しに見てとれる。Zoomはおしゃべりをするツールかと思いきや、真剣に集中する空気と沈黙がパソコン画面の向こうに広がっている。こういう日曜の朝の使い方もいいものだ。

 


3:みんなで本の紹介ワーク

ここまでおよそ30分、一人一人が集中してスピーディに本を読みこんできた。ここからは、3人ずつのグループ分かれて、まとめた本の内容を紹介しあう時間となる。自分が選んだ1冊以外の、別の2冊を立ち読みするような感覚が味わえるのも醍醐味だ。

 

[多読ジム]では、「読んで書く」のセットで、「読書」ととらえています

 

大音冊匠の言葉にあるように、このワークショップでも、短時間ではあるが一人で読みこんだ本の内容をアウトプットする時間を用意している。

 

グループワークが終わったときには、ジムでひと汗かいてきたようなさわやかな面々がZoom画面に並んだ。きっと沈黙のあとのおしゃべりは、開放感があって気持ちも弾むことだろう。

 

これで75分のワークショップは終了となる。

もういちど松井冊師から今日のまとめを聞いた後は、一人一人が読んだ本の表紙を画面に見せながら退出した。今回はロシア関連書籍が心なしか多くみられたようだ。

 

この1時間で、50冊の未読の新書が既読になったと考えると、なかなかすごいですよね。スポーツジムでいろいろなタイプのマシンがあるように、読書にも色々な読み方があります。今回はその中でも、目次読書法を紹介しました。気軽に手に取って頭からお尻まで食べる、という機会を日常の中で作っていただけたらと思います (松井路代冊師)

 

「この目次読書法を活かしたら、今まで30年ずっと読めなかった本が読めた」という声も届いているという。今回参加された初体験の方からも、「こんな読書法は初めて!」と、喜びの感想が多数寄せられている。

 

みなさんもぜひ第3日曜日の朝を、これまで体験したことのない読書法にふれるワークショップで技を身に着け、豊かにすごされてはいかがだろうか。

 


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多読ジム シーズン11夏
共読online◎目次読書ワークショップ 

日時:2022年8月21日(日)/ 9月18日(日)
    いずれも時間は10:30~11:45
会場:オンライン(Zoomを利用します)
参加費:無料
対象:編集学校に未入門の方も、どなたでもご参加いただけます
詳細・申込:https://shop.eel.co.jp/products/list?category_id=41
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  • エディスト編集部

    編集的先達:松岡正剛
    「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。

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コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。