ロールが私を動かす――【78感門】後日談

2022/03/23(水)11:00
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 3月20日、カメラを片手に、本楼を所狭しと動き回っていたのは、赤い水玉模様の布を身につけた野住智惠子だった。45[守]すみれの花咲く教室師範代にして、14[離]を終えたあの野住である。
 野住は今回の第78回感門之盟で、サポートスタッフ「感門団」に立候補し、この日をカメラマンとして迎えたのだった。


 今期の感門団は総勢28名。他のロールとの兼務も多く、例えば48[守]からは、畑本ヒロノブ師範代や嶋本昌子師範が感門団としても参加している。時と場に応じてロールを着替えるのもイシスの特徴だ。感門団には、[守]学衆でも参加できる。
 野住はその感門団のひとりだった。本楼でのしなやかな動きと絶えない笑みは、野住が元女優であることを証明していた。
 
――感門の裏方ですか。大変ですね。
野住「いいえ、楽しいですよ。こうやってロールをいただけたから、私はイキイキとしてられるんです。ロールがあるから私の居場所がある」

 

 翌21日、野住は新たなロールを授かった。
 春に開講する49[守]、男装いとをかし教室の師範代だ。師範代というロールは、野住を輝かす舞台なのだろう。
 いや、そういうと野住は否定するに違いない。
 輝くのは私ではなく、学衆である、と。

 

 49[守]は、4月25日に開講する。

 

▲野住師範代(左)と、学衆として45[守]すみれの花咲く教室で学んだ小椋加奈子師範代。今回の感門がリアルでの初対面だった。小椋の板付Bダッシュ教室は、48[守]の中でもとりわけ活発な教室で全員卒門を果たした。小椋は教室という舞台で常に凛と振る舞った。これも野住から受け継いだミームか。今春、小椋は48[破]師範代のロールを担う。

 

撮影/嶋本昌子

  • 角山祥道

    編集的先達:藤井聡太。「松岡正剛と同じ土俵に立つ」と宣言。花伝所では常に先頭を走り感門では代表挨拶。師範代登板と同時にエディストで連載を始めた前代未聞のプロライター。ISISをさらに複雑系(うずうず)にする異端児。角山が指南する「俺の編集力チェック(無料)」受付中。https://qe.isis.ne.jp/index/kakuyama

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コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。