イドバタイムズissue.24 古代の景色が見えてくる~夏のエディッツの会【字遊(じゆう)時間】レポ

2023/08/10(木)08:00
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 勉強のことはひととき忘れて、漢字や文字の世界に遊びに行こう。
 子どもイシス・夏のエディッツの会「字遊(じゆう)時間」に集まったのは子ども4名、大人8名。ワークで飛び出したイメージや文字を紹介する。
 みなさんも字遊な時間をどうぞ、ご一緒に。


■じの字で自己紹介~今日の私を「じ」であらわそう~


  のどが渇いた。水を飲んでいる「じ」

 

  あせもを掻く「じ」

 


  画面上に揃ったみなさんのお顔を、じーっと見ている「じ」


 十二人十二様の様子や気持ちが表われた「じ」ができた。

 

■イメージしりとり~言葉の広さを感じよう~

 

イメージしりとりは、言葉を絵で表現しながら、「~といえば」で連想をつなぐゲームだ。

 

 

例として「りんごといえば」を紹介したあと、2グループに分かれ、どちらのグループも、「海(うみ)」からスタート。


・うみ→うきわ→まる→ちきゅう→ひと→れきし
  「〇」のかたちから大きな「地球」にひとっ飛び。「歴史」にまでふくらんだ。

 

・うみ→うみどり→ひこうき→そら

  「海鳥」の絵と「飛行機」の絵のかたちがそっくり!

 

 思わぬ方向に広がって、言葉にはいろいろなイメージがあるなあと思えた時間だった。
 絵で表すことで、似ているかたちでの連想がひきだされることも発見だった。

 

■字源逍遥~文字をおさんぽしてみよう~

ここからは、寺子屋豆鉄砲プレゼンツの字源逍遥ツアーである。

案内人は、字書を読むのが大好きな”ぽっぽ”こと野村英司。
子ども支局メンバーでもある。
漢字がいっぱい書かれた紙がぐるぐる回って、いざ古代にタイムトリップだ。

「みなさん、漢字はいつごろ生まれたと思いますか」
「どんなものに書いていたと思いますか」
ツアーが始まると、野村はツアー客につぎつぎに問いかけた。

 

亀の甲羅に刻まれた甲骨文字を紙に写したもの

「漢字のもと」が生まれたのは3000年以上前、今の中国大陸にあった「殷」という国でのことだと言われている。
その時代に描かれた甲骨文を参加者に見せたあと、ぽっぽ野村が画面に出したのは、手書きのたくさんの甲骨文。
「これらは参加者のみなさんの名前の漢字なのです。どれが自分の漢字かわかりますか」

 

参加者の名前の甲骨文字がずらり


問いかけに対して、子どもたちも大人たちも、知識と想像力をひらめかし、つぎつぎ答える。
野村が、文字の読みと意味と来歴を紹介していく。

 悠と花には、どちらにも人がいる。
 島は海の上の岩にとまっている鳥。
 富は屋根の下にあるお酒のつぼ。大事なものを表している。

 

「ビデオや写真もない時代、考えたことや思ったことを文字一つ一つに刻んで残していったんじゃないかな」
「文字や文字の組み合わせからその時の世界が景色として見えてきて、辞書を読んでいると映画を見ているような気持ちになる」と野村は言う。

 

足跡の形から足の漢字の原型ができた。ここから「足」に関わる文字がたくさん生まれていった。


3,000年以上前から、字と字を組み合わせて新しい文字が作られたり、かたちが変わったりしてきた歴史があるなら、新しい文字も作れるはず。と最後は文字づくりにチャレンジした。

お題は、「3,000年前にはなかったテレビとパソコンを文字にしてみたらどうなるでしょう?」
文字のさんぽをしてきたからか、みんな、わずか3分のシンキングタイムで文字をつくり上げた。

 

それぞれの「見方」が新しい漢字に現れていることを味わった

 漢字は覚えるだけじゃもったいない。
 辞書に載っていることから、その漢字が生まれた大昔の世界の様子を思い浮かべてみたらどうだろう。

 夏休みの宿題の「漢字の書き取り」も、連想の旅の始まりになるはずだ。


 

◆エディッツの会で紹介した本

 

 

『白川静さんに学ぶ漢字絵本 足の巻』

小山 鉄郎 (監修), はまむら ゆう

 



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活動主体:イシス子ども支局
神尾美由紀、長島順子、景山卓也、上原悦子、得原藍、浦澤美穂、吉野陽子、松井路代、石井梨香、野村英司
学林局長 佐々木千佳

 

  • イドバタ瓦版組

    「イシス子どもフィールド」のメディア部。「イドバタイムズ」でイシスの方法を発信する。内容は「エディッツの会」をはじめとした企画の広報及びレポート。ネーミングの由来は、フィールド内のイドバタ(井戸端)で企画が生まれるのを見た松岡正剛校長が「イドバタイジング」と命名したことによる。

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。