この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

「すごい!みなさん最後までやりきりましたね!」
インターアクターを務めた菅野祥子は、ワーク最後のプレゼンを聞き、参加者に潜んでいた編集力を感じ取った。
杜の都仙台のマチナカ、イチョウ並木の広瀬通に面した仙台市市民活動サポートセンター(通称サポセン)の一室でエディットツアースペシャル仙台は開催された。
広瀬通は仙台市都心部を走る幹線道路のひとつ。ケヤキ並木で有名な定禅寺通と青葉通の間に位置している。サポセンは仙台のまちづくりや市民活動の拠点施設で、多くの人が利用する。
この日のメインワークは、「東北(仙台)の伝えたいモノ・コトを、伝える」というもの。
「自分の伝えたいことって?」
「どうすれば伝わるんだろう?」
ワークを進める中でいくつかの編集の型を使いながら、情報を収集し関係づけ、構造化して演出する。
「康代さん、連想すると何が良いんですかね?」
「それはですね、やっぱり…」
森由佳(未知奥連弦主)と鈴木康代([守]学匠/未知奥連連長)の絶妙な掛け合いは、まるで受験生にとっての深夜ラジオ。参加者たちを導き励ます。
ワークのゴールはSNSを想定した140字の短文を発表した。政宗がメタルになったり、ホヤに恋したり、広い空間に可能性を感じたり、掘り起こす共通性を見つけたり、東北のキャンペーンガールになったり…。引き込まれ、大いに頷き、改めて東北に惚れるプレゼンが出来上がった。
最後に鈴木連長が今日の振り返りと編集稽古について語る。
「ワークでもやった“地と図”。これがわかるとコミュニケーションの仕方がまったく変わります」というくだりに、参加者たちは赤べこのように首を縦に振っていた。
written by 菅野祥子
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
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コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。