近大生、いざ番ボー!ー52[守]近大景山組ドキュメント(3)

2023/12/31(日)12:00
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  守護神の如くいつだって[守]稽古の現場に張っているのが52[守]で番匠を務める景山和浩だ。秘めたる涙もろさと機を逃さぬ俊敏さを武器に、近大生の編集稽古ドキュメントを連載し、エディストを席巻しようと目論んでいる。第3回は12月28日に行われた「番ボー秘密稽古」をレポートする。


 

 「あのちゃん」っぽくて「和三盆」「ファンデーション」でもあり「サンバ」なもの。なぞなぞではない。お題から広げた連想である。

 

 お待たせしました、近大景山組ドキュメント。1カ月ぶり3回目…だが、その間、伝習座、第1回番選ボードレール(番ボー)が過ぎ、講評が届き、汁講が開かれ、気づけば年の瀬、蛍の光に除夜の鐘。チャンスはいくらでもあったのに、牛歩なペース。ボーっと生きてんじゃねーよ!と叱られそう。


 久しぶりなので、近大生の近況を。稽古を進めているのは数人。寂しい。しかし第1回番ボーでは金賞・銀賞に1人ずつ輝くなど大活躍だった。12月に入って復活した学生もいる。せっかくの冬休み、もっともっと戻ってきてほしい。

 12月28日には、025番「即答・ミメロギア」が出題。第2回番ボーが始まった。エントリー期限は1月7日22時。年をまたぎ、回答・指南が飛びかう10日間だ。近大生、いざ番ボーへ!

 

 その28日夜、「祭りだ!番ボー秘密稽古」と銘打った近大生の交流会が開かれた。Zoomに集った学衆は、景山組の水上亮輔さん(カミ・カゲ・イノリ教室)、阿曽組の佐々木さん(蒸着パズル教室)。特別ゲストとして51[守]を卒門し、51破を受講中の近大生、古川希大さんが参加してくれた。水上さんと古川さんは、近大図書館サポーター「アプリコット・コンシェルジュ」に所属している。イシス歴は古川さんが早いが、学校では水上さんが先輩なのだそうだ。

 

 指導陣は、稲森久純・阿曽祐子・景山和浩の近大番に、学林局から衣笠純子の4人。稲森がスライドを用意し、番ボーは「調査→量産→推敲」の三間連結だと力説する。自身の入選作、師範代を務めた50[守]釣果そうか!教室の作品も披露し、ミメロギアのコツを説明。そして実際やってみようとワークに入る。6つあるお題の一つをそれぞれ自由に選び、全員で回答する。最初こそ即指南で応じていた近大番だが、だんだん無口に。全員が熱中している。やり始めると考えずにはいられない。これがミメロギアの魅力なのだ。

 

 古川さんは「メモ書き」と言いながら、コンパイルから始めている。まずは「調査」が大事。
 水上さんは韻を踏むのがうまい。語呂、リズム感はとても大切な要素だ。コツをつかんでいる。
 佐々木さんは発想豊かにイメージを広げる。冒頭の「あのちゃん」「和三盆」「ファンデーション」「サンバ」は、実は佐々木さんがお題の「粉雪」から連想したもの。近大番がヒントを出すが、はるかにいい回答になって返って来る。近大番冥利につきる、うれしいキャッチボールの時間となった。

 

 「イシス編集学校はとても楽しい」と、佐々木さん。「もっと交流したい」とも発言してくれた。すぐに古川さんが「勧学会にも注目を」と応じる。「汁講など行事のお知らせもあるし、稽古のヒントも届く。教室同様に注目するといいですよ」。さすが先輩、いいことを言う。

 

 交流会は1時間半の予定をオーバーして終わった。最後に水上さんが「やりますよ」とひと言。短い分、決意の強さを感じる。参加した2人のチャレンジに注目したい。欠席した近大生の番ボー参加ももちろん期待している。イシス編集学校校長の松岡正剛も「すべてをチャンス・オペレーションとする」と話す(校長室方庵)。
 稽古三昧の正月なんて、そう味わえるものではない。チャンスをつかみ回答に向かおう。ボーっと生きてんじゃねーよ!と叱られるのはわたしだけで十分だ。

 うなぎのぼれ、近大生

 

  • 景山和浩

    編集的先達:井上ひさし。日刊スポーツ記者。用意と卒意、機をみた絶妙の助言、安定した活動は師範の師範として手本になっている。その柔和な性格から決して怒らない師範とも言われる。

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。