「境界」を超えてゆけ 特別稽古の45[守]近大生

2020/06/05(金)10:06
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「羽口」=フレンチキッス
「鍵溺」=ピアニスト
ならば、「境界異性」は?

 

5月28日(木)、近大生[守]学衆は特別稽古を行っていた。
取り組むのは、編集稽古013番「合金と合コン」。44[守]から第1回番選ボードレールに復活したお題だ。
内容は、規定の漢字1字にもう1字をプラスして新しい二字熟語(あるいは2字+2字で四字熟語)を作り、よみがなをあてるというもの。

 

 

4.5倍もの激戦をくぐり抜け、受講資格を勝ち取った近大学衆。
若き40名の志士を支えるべく、所属教室の師範代・師範に加え、「近大番」なる目付役がスタンバイしている。近大学衆は、受講中に3〜4回、松岡校長が監修した近大・ビブリオシアターに集い、指導陣とリアルに交わし合いながら稽古できる特典付きの受講スタイルだ。

今期は、6月いっぱい学内立ち入り禁止。そのため場所をZoom教室に変更しての開催となった。日曜22時のエントリー締切をひかえ、近大学衆は食いさがる。

 


「『境界』が抽象的でやりにくいんですけど……」
学衆Sから質問が飛ぶ。近大番・川野貴志師範がすかさず応答。

「具体的な場面を設定するといいかもしれないですね。ミクロな細胞の境界もあれば、この世とあの世の境界も、男女の境界も」

 

おずおずと切り出す学衆M。
「ぼく、『境界異性』を考えたんですけど、どうやって読んだらいいかわかんなくて」

マツコ・デラックス!?とのざわめきを制し、二次元と三次元の境界にいるアイドル的異性を想定したと意図を語る。「初恋?」「ヒロイン!」チャットで仲間からアイデアが寄せられた。終了時間を過ぎても、4名が居残り自主稽古を行った。

 

 


[守]のお祭りとして、全教室200名以上がいっせいに湧き立つ番ボーウイーク。学衆は少なくとも2~3回、ツワモノは10往復以上も師範代とやりとりを重ね、回答を磨きあげる。推敲の過程で、イノベーションを生み出す「一種合成」の型が叩き込まれる。

 

あたりまえの境界を超える斬新な発想は、どうしたら作れるか?

その鍵は、オンラインツアーで。6月中、毎週開催。
https://es.isis.ne.jp/news/event/3201

 

得番録には、回答⇔稽古のスコアが記録されている。今期最高回数は17往復。

  • 梅澤奈央

    編集的先達:平松洋子。ライティングよし、コミュニケーションよし、そして勇み足気味の突破力よし。イシスでも一二を争う負けん気の強さとしつこさで、講座のプロセスをメディア化するという開校以来20年手つかずだった難行を果たす。校長松岡正剛に「イシス初のジャーナリスト」と評された。
    イシス編集学校メルマガ「編集ウメ子」配信中。

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。