44[守]勧学会に登場「空文字アワー」って?

2019/11/25(月)17:33
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誰がどんな文字を入れるかは知らないが、入れてみたら確かにつながる「空文字アワー」のお時間がやってまいりました。

 

どこかのテレビ番組のパロディかと思しきこの企画は、守稽古の用法1が終わる頃に毎期開催していた教室全員参加の勧学会イベント、「寄せ書き大会」のリニューアル版だ。今期は、2019年11月10日からスタートし、稽古そっちのけで参加する学衆があちこちに現れた。

 

リニューアル版への変更は、44[守]の師範会議がきっかけだった。[守]のアワードである番選ボードレールが2回に増えるため、寄せ書き大会を継続すべきかが議題となった。ファンも多かった企画なだけに無くしてしまうのはもったいない。でも、どうせ継続するなら新しい編集も試してみようと、新ルールが加わった。指導陣は念入りに回答実験も行い、新しい言葉ゲームを完成させた。

 

新ルールはこうだ。

ある簡単な文に(   )空白をつくる。
ここに言葉を入れ、さらに(   )を加えていく。
次の人も同じことをする。これを全員で繰り返していく。

 

ゲームの模様を一部ご紹介しよう。

 

●二歩三歩教室 中山有加里師範代
【中山】 険しい道を高い竹馬で歩いた(   )。
【学衆1】険しい道を高い竹馬で(   )歩いた去年の耐寒登山。

 

●ドラミ助太刀教室 松永惠美子師範代
【学衆1】 魔法使いが(   )ネコが看板娘役のカフェにファーの
      付けしっぽをふりふりあらわれた。
【学衆2】 魔法使いが殺された現場からネコが(   )看板娘役の
      カフェにファーの付けしっぽをふりふりあらわれた。

 

険しい道は更に険しい登山に変わり、魔法使いは殺人事件へと展開。
教室らしさが現れたり、極端な飛躍があるのもゲームの魅力だ。
以前は、ある一文に次々と言葉を入れていけばよかったのだが、
新ルールでは、言葉を入れる場所(   )が指定されることにより、
次の人は場を託され、ともに言葉をつむいでいく感覚を味わうことになる。
(   )をどこに置くかという選択も先の行方を左右する。
空白を埋める物語、行き着く先に空は広がる。

  • 林朝恵

    編集的先達:ウディ・アレン。「あいだ」と「らしさ」の相互編集の達人、くすぐりポイントを見つけるとニヤリと笑う。NYへ映画留学後、千人の外国人講師の人事に。花伝所の花目付、倶楽部撮家で撮影・編集とマルチロールで進行中。

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コメント

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山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。