アリストテレス賞選評会 42[破]

2019/11/01(金)09:30
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 アリストテレス賞選評会は、師範のプレゼンの場でもある。師範は選評委員であるが、担当教室のエントリー作品を解説するロールも担う。42[破]知文術ではエントリー率93.9%、62作品が寄せられた。


 2019年5月18日(土)、豪徳寺イシス館で開催された選評会には5人の師範と4人の評匠、学匠、月匠の計11名が集合した。昼12時半から夜8時まで、全作品をひとつひとつ検討する。


 議長の原田学匠が師範を指名してプレゼンがスタートした。稽古ぶりや創文の見どころを1作品につき5分弱で語る。その後、他の委員たちからコメントが入る。こちらは辛口が続く。


 日が暮れてきたころ、入選作品がほぼ決まった。ここで再び師範が立ち上がる。担当教室の学衆が一人でも多く入賞してほしい。最後のひと推しタイムだ。ニュートラルな立場の評匠、学匠、月匠がエントリー作品の束をひっくり返しながら再チェックする。めでたく昇格する作品もあれば、どうしても入選に至らない作品もある。


 午後8時、選評会議終了。学林堂に師範の安堵と無念のため息が溶けあった。

 

  • 吉野陽子

    編集的先達:今井むつみ。編集学校4期入門以来、ORIBE編集学校や奈良プロジェクトなど、18年イシスに携わりつづける。野嶋師範とならぶ編集的図解の女王。子ども俳句にいまは夢中。

コメント

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山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。