【特集】ETS群島リレー23@札幌 はじまりの編集術

2019/10/13(日)17:59
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「北海道をラーメンにたとえるなら、子供から大人まで同時に楽しめるところ。でも行列はほとんどないし、インスタントじゃ味わえない!」。開館1周年を控える札幌市民交流プラザの一室に、参加者の「見立て」の声が響く。

 

 エディットツアーが北海道で開催されるのは約4年ぶり。テーマは「はじまりの編集術 日常を違う視点からみるっしょ」。市長の肝入りでオープンした文化交流施設に9名の北海道民が参加した。

 

 美幌町で農業に携わる男性は、苦悩の表情で「視点を動かすのは、なかなか難しい。そもそも固定化していることにすら気がつかないことの方が多いんです」。そこに、北海道大学で科学と市民をつなぐ活動をしている職員さんが返す。「でも全然違うものに見立てると動きますね。カニにたとえると、骨格の対称性は北海道にはないけど、中身の味は地域ごとに特色がある」。

 

 

 北海道という情報を、ラーメン・カニ・ウルトラマンに無理やりでも見立ててみる。すると、意外なものとの関係を見つけようと、アタマも視点も動いていく。一人ひとりの見方が「型」によって言葉になる。自由になる。

 

「すごい、講師に変身できるじゃない。ウルトラマンより長い、3分以上! あんた、見直したわ」。函館から車で往復9時間。息子の勇姿を見に駆けつけた講師・橋本の母の視点も動かした。

  • 橋本英人

    函館の漁師の子どもとは思えない甘いマスクの持ち主。師範代時代の教室名「天然ドリーム」は橋本のタフな天然さとチャーミングな鈍感力を象徴している。編集工学研究所主任研究員。イシス編集学校参丞。

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コメント

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山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。