【特集】ETS群島リレー21@三軒茶屋 今そこにある「色」の力

2019/10/12(土)21:06
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 三軒茶屋の住宅街の一角に建つごくごく普通の一軒家。門をくぐると、印象が一変する。真っ赤な襖に、版画に囲まれた板張りのリビング。江野澤由美師範代の運営するこのサロンで、「色」を切り口に編集術の力を体感するエディットツアーが開かれた。

 

 今ここにいる部屋の眺めもちょっと色を意識するだけで見え方が変わる。例えば、床、テーブル、壁。それぞれが同じ木製だとしても、それぞれの木の色の違いにだんだん気が付いてくる。

 

 あるいは「おいしそうな色」というフィルターをかければ、ドアはチョコレートに変身。編集術を使うとガラリと見方がカワル。見方がカワルと違いがワカル。5名の参加メンバーは「たしかに!」「それもあったか!」と目からウロコの様子だ。

 

 次の稽古では部屋の中の色から「サマースイーツ」を連想し、そのスイーツから3色を取り出す。詩歌に遊ぶ私塾を開いているダンディな男性は、時間軸で浮かび上がるグラデーションを発見した。

 

 かき氷の真っ白な氷、仕上げの苺色の鮮やかなシロップ、食べて溶けた水彩の薄紅色。今度はその3色でファッション塗り絵を染めていく。ベースの白と薄紅色の洋服に、シロップの苺色はアクセントのボタンや靴紐の色に置きかわる。

 

 

 ぼんやりと眺めているだけでは見えなかった情報も、捉えなおして関係づけていくうちにお洒落な着こなしアイデアの一丁あがり。編集のチャンスはふだんの生活の中に山ほどある。

  • 江野澤由美

    編集的先達:堀内誠一。寝る前の香水は欠かさず、そのカラフルな色香で中小企業の社長を骨抜きにするコンサル&プランナー。薔薇は咥えない情熱のフラメンコダンサーでもある。野望は編集スナックのママ。

コメント

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山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。