【特集】ETS群島リレー20@名古屋 本棚がカワル 世界がワカル

2019/10/12(土)15:10
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 「自然」の棚に芥川龍之介全集、「スポーツ」の棚には児童文学の『泣いた赤鬼』。そして「歴史」の棚になぜか雑誌『ホットドッグ・プレス』。モノコト編集ワークショップの参加者が全員で作った本棚は、慣れ親しんだ本の見方をダイナミックに変えるものだった。

 

 冒頭は久野美奈子師範代が編集思考素の「三位一体」と「三間連結」をレクチャー。続けて、編集思考素をもとに与えられたテーマの棚を編集するグループワーク。スポーツの棚は「血」・「汗」・「涙」、エンターテインメントの棚には「8時だヨ!全員集合」・「ひょうきん族」・「笑点」という3つの分類軸が立った。

 

 参加者には、自宅の本棚から15冊の本を選び、そのタイトルを短冊に書く宿題が出されていた。その短冊をそれぞれ一番ふさわしいと思う棚に貼り付けていく。棚選びの基準は、本の内容から連想されたものだけでなく、読んだ時の思い出、装丁の雰囲気などさまざまだ。

 

 既存のジャンルとはまったく違う、新しくて、楽しくて、やわらかい本棚が次々と生まれていく。情報を集めて関係づけ、構造化して表現する。情報を自在に編集する方法を手にすることで、世界の見方は一変する。分類は自由になるための方法だ。久野師範代は力強いメッセージで締めくくった。

 

 参加者たちは心地いい驚きと充実感に浸りながら、曼那加組の小島伸吾組長お手製のアイスコーヒーを片手に、本棚の前でいつまでも語り合った。

  • 石黒好美

    編集的先達:電気グルーヴ。教室名「くちびるディスコ」を体現するラディカルなフリーライター。もうひとつの顔は夢見る社会福祉士。物語講座ではサラエボ事件を起こしたセルビア青年を主人公に仕立て、編伝賞を受賞。

コメント

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山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。