【特集】ETS群島リレー16@大阪 セミの抜け殻 × 突き刺さる日差し × リボンの騎士=???

2019/10/11(金)09:08
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 うまい棒のコンポタ味と特産品の寒天を使った最中で一息いれる。山根尚子師範がナビゲートするエディットツアー大阪はいよいよ後半へ。

 

 視点を転ばす編集ワーク。2025年開催予定の大阪万博のパビリオンをプランニングする。「えっ…できるかな」。参加者のどよめきを山根師範は笑顔でふんわり包み、手際よく手順を説明していく。

 

 材料となる情報は「今朝起きてから会場に来るまでにみたもの」。30個を目標にポストイットに書きだして収集する。まずは価格順。次に「嫌いな順」に並べ替える。

 

 客観軸と主観軸で分類すると情報の見え方がずいぶん違ってくる。主観軸の上位3つを持ち寄り、編集思考素を用いて関係づける。ターゲットを定め、ひとつの企画に仕上げていく。


 45分間の自己編集と相互編集のすえ、4つの企画がこの世に生まれた。ツアーのフィナーレでは、グループごとに全員が前に出て、パビリオンのキャッチフレーズと狙いを語る。提出されたプランは以下の通り。

 

 ◆縦横無尽に未来を乗りこなす!
 魔法のじゅうたんのような乗り物が目玉のパビリオンで、ズボラで横着な人も動きたくなる。

 

 ◆THE(ザ)
 ただモノが置かれている。答え無し、押し付けのメッセージ無し、いつも追われている人に味わってほしい。

 

 ◆輪廻迷宮
 セミの抜け殻・突き刺さる日差し・リボンの騎士の三位一体から「コスプレ」というイメージが浮かんだ。性別を超える変身体験。

 

 ◆イラないステーション
 駅でのストレスで意気投合。改札機無しの改札を作ってみてはというアイデアをキャッチフレーズ化した。

 

 情報を集めて、「型」を使って動かせば、あらゆることがプランニングのエンジンになる。初めて出会った人とインタースコアできる。ネガティブな情報だって変化を起こすきっかけにできる。


 余韻を味わうように、アンケートシートには多くの言葉が寄せられた。「何かに見立てると、日常が柔らかく見えてくることを実感できたので良かったです」(男性/大学生)、「仕事である表情筋トレーニングに取り入れたいと思いました」(女性/50代)「最初はなかなかアウトプットができず、練習が必要だと感じた」(女性/20代)。もう少し遊んでいたい。

  • 松井 路代

    編集的先達:中島敦。2007年生の長男と独自のホームエデュケーション。オペラ好きの夫、小学生の娘と奈良在住の主婦。離では典離、物語講座では冠綴賞というイシスの二冠王。野望は子ども編集学校と小説家デビュー。

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コメント

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山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。