松岡校長だけが知らないこと 感門之盟

2019/08/17(土)14:38 img
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 松岡正剛には知らないことがある。いや、あの博覧強記の松岡校長だけが知らないことがあるのだ。それは感門之盟の師範ジャンクションの一コマのこと。壇上で校長と師範がハグをする。その時に肩越しの師範たちはそれまでに見せたことのない表情を浮かべている。


 そこには『たけくらべ』の美登利のような少女の邪険も、『ブリキの太鼓』のオスカルのような少年の悪だくみも一切ない。何期にも渡って、そのシーンを追いかけてきたスチールカメラ担当のSNS伝奏連は、ある時あることを発見した。校長ハグを受ける師範の表情は4種類に分類できる。

 まず、嬉しさが溢れてしまう「満面の笑みタイプ」。多くの人がこれに当たる。そして次に多いのが「滋味深く味わうタイプ」。ハグにも慣れたベテランに多い。ここにはけっこう強めにハグを受ける「感無量系」も含まれる。ハグデビューとなる人は「恥じらいタイプ」が多い。初々しさが微笑ましい。そして少数だが「恍惚タイプ」もいる。これは上級者だ。

 感門之盟では、普段は凛々しい師範たちの溢れる表情にも注目されたい。でも、松岡正剛だけは知らない。

  • 後藤由加里

    編集的先達:石内都
    NARASIA、DONDENといったプロジェクト、イシスでは師範に感門司会と多岐に渡って活躍する編集プレイヤー。フレディー・マーキュリーを愛し、編集学校のグレタ・ガルボを目指す。倶楽部撮家として、ISIS編集学校Instagram(@isis_editschool)更新中!

コメント

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山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。