選書はリアル編集稽古 DONDEN

2019/09/26(木)08:45
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 イシス編集学校と編集工学研究所がコラボレーションするプロジェクトの特徴は、絶妙なスタッフィングにある。2016年1月、近大アカデミックシアターDONDEN選書チームが発足した。ディレクターは学林局・林頭の吉村堅樹、12名のメンバーはプロのマンガ編集者、図書館関係者からマンガマニアまで多彩な顔触れであった。

 

 チームは、約4万冊のマンガ・新書・文庫本の選本に取りかかる。DONDENでは、既存の十進分類法ではなく、新たな分類軸で本棚を構成する。メンバーは、編集方針に従って、歴史からスポーツまで各分野のマンガ・新書・文庫本をリストアップした。

 

 おのずとさまざまなエラーが生じる。例えば、本棚のスペースと本の数量のミスマッチ。選んだ本が入手不可能な場合もあった。そのたびに、選書チームは分類軸を立て直し、選書作業をし直す。豆腐で役者を分ける、[守]の編集稽古さながらだ。

 

 世にないものだからこそ、リアルの場で想定外が現れ、そのつど方向性を調整する。それは松岡正剛校長から課せられたリアル編集稽古であった。

  • 井ノ上シーザー

    編集的先達:グレゴリー・ベイトソン。湿度120%のDUSTライター。どんな些細なネタも、シーザーの熱視線で下世話なゴシップに仕立て上げる力量の持主。イシスの異端者もいまや未知奥連若頭、守番匠を担う。

コメント

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山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。