この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

かさねて、あわせて、きめる。
着物にまつわる仕草はことごとく、[守]で遊ぶ編集的方法だ。
システムエンジニアにして着物エディターである
イシス編集学校師範の森山智子が、
和装に忍んだシステム編集をひもとく。
着物はオートクチュールのドレスとは全く違い、コーディネイトがすべてを語ります。ですから、要素のひとつである小物をおろそかにするなんてあり得ません。小物にはすべて機能があるため、小物なしでは着物が成り立たないのです。着付け面での機能を果たしながら、同時に装飾面での機能も問われる。その中でも私が特に、一番に気になっていて、こだわっているのは? ――帯揚げ。
初めに、位置についておさらいしましょう。その名の通り、背中のお太鼓をかつぎ揚げ、支えるという機能を担って、背中から脇を通り、ちょうど胸がドキドキするあたりで結ばれます。最近の着付けでは、背中の帯の結び目(ねじり目)を支えながらお太鼓を揚げているのは、お太鼓枕とそれについている紐なのですが、帯揚げはちょっと色気のない枕や紐を優雅につつんでくれます。
着付けによっては、帯の中に帯揚げをぎゅうぎゅう仕舞い込んでしまうことがあります。確かに、見える要素が一つなくなることで、そのぶん組み合わせの数も少なくなり、考える対象も減らせます。楽にはなるかもしれませんが、同時に楽しみも広がりも奪ってしまうような気がします。帯揚げは、適度に見えるようにするのがいい。脇を固めて、胸に収まる。帯揚げは、狙うイメージに向かうための方向舵なのです。
続きはまた。
◆要素・機能・属性【ようそ・きのう・ぞくせい】
編集的世界観では、森羅万象がシステムとなる。
全てのシステムには、要素・機能・属性が備わっている。
シンプルな構造に見えるコップでも、
口のあたる縁の部分なのか、手で握る胴の部分なのか、
どの「要素」かによって、その厚みや硬度といった
「属性」は微妙に変化していく。
つまりコップもまた、立派なシステムと見なせるのだ。
では、コップの「機能」とは?
それをありったけ並べるお題が、
イシス編集道の劈頭を飾っている。
森山智子
編集的先達:和泉式部。SE時代にシステムと着物は似ていることに気づき開眼。迷彩柄の帯にブーツを合わせる、洋服生地を帯に仕立てる等、大胆な着こなしをはんなり決める。イシスにも森山ファンは数多い。
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コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。