この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

松岡正剛いわく《読書はコラボレーション》。読書は著者との対話でもあり、読み手同士で読みを重ねあってもいい。これを具現化する新しい書評スタイル――1冊の本を3分割し、3人それぞれで読み解く「3× REVIEWS」。
多読アレゴリアのクラブ【勝手にアカデミア】は今回、はとさぶ連衆(受講生)の3人が、自分たちのキーブックである『三枝博音と鎌倉アカデミア』のヨミトキを三分割書評で挑戦。伝説の学校をレビューで活写する。
●●●【勝手にアカデミア】による『三枝博音と鎌倉アカデミア』×3× REVIEWS
●戦後の混乱期に誕生した奇跡の学校
序章 鎌倉アカデミアがめざしたもの――野散の大学・四年半の軌跡
第1章 学問の深さと厳しさ――哲学者・三枝博音の歩んだ道
第2章 楽しい学園をめざして――「自分」の頭で考える人間づくり
「鎌倉アカデミア」とはいったい何だったのか。松岡正剛校長も千夜千冊で評価した三枝博音(二代目校長)の思想から深掘りする。
●現役の俳優が作家が躍動す
第3章 多彩で個性的な教授たち――作家・高見順も教壇に立つ
「鎌倉アカデミア」の特異性は、参集した教授陣のその顔ぶれの多彩さにあった。
●今も続く、学び合う共同体の精神
第4章 鎌倉アカデミアに来い――教える者と学ぶ者の人間ドラマ
第5章 種蒔く小さな集団――己れを信ずる者の新しい旅立ち
終章 光は闇の中で見える――語り継がれる鎌倉アカデミア
なぜ「鎌倉アカデミア」は終わりを迎えたのか。「鎌倉アカデミア」とは何だったのか。
『三枝博音と鎌倉アカデミア 学問と教育の理想を求めて』
前川清治/中公新書/1996年5月25日/680円(税別)■目次
序章 鎌倉アカデミアがめざしたもの――野散の大学・四年半の軌跡
第1章 学問の深さと厳しさ――哲学者・三枝博音の歩んだ道
第2章 楽しい学園をめざして――「自分」の頭で考える人間づくり
第4章 鎌倉アカデミアに来い――教える者と学ぶ者の人間ドラマ
第5章 種蒔く小さな集団――己れを信ずる者の新しい旅立ち
終章 光は闇の中で見える――語り継がれる鎌倉アカデミア
あとがき
●●●3× REVIEWS(三分割書評)を終えて
やはり「鎌倉アカデミア」はイシス編集学校のアーキタイプだ。ここには、「教える」「学ぶ」の固定的な関係を越えた相互の学びがあった。なにもない戦後の混乱期に、有志によって理想の学校が創られたという事実は、私たちにも勇気を与えてくれる。「鎌倉アカデミア」モデルは、今の時代にこそ必要なのではないだろうか。(み勝手・角山祥道)
●「勝手にアカデミア」をもっと知るには●
○吟行レポ
【多読アレゴリア:勝手にアカデミア】はとさぶ連衆、鎌倉に集い俳句を詠みつつアカデミア構想に巻き込まれるの巻
○クラブ紹介
【多読アレゴリア:勝手にアカデミア①】勝手にトポスで遊び尽くす
【多読アレゴリア:勝手にアカデミア②】文化を遊ぶ、トポスに遊ぶ
【多読アレゴリア:勝手にアカデミア③】2030年の鎌倉ガイドブックを創るのだ!
【多読アレゴリア:勝手にアカデミア】勝手に映画だ! 清順だ!(25春)
◆Info 多読アレゴリア2025夏
【申込】https://shop.eel.co.jp/products/tadoku_allegoria_2025summer
*多読アレゴリア2024春から継続の方は申し込み手続きは不要です。
【開講期間】2025年2025年6月2日(月)~8月24日(日)
【申込締切】2025年5月26日(月)
【定員】20名(勝手にアカデミア)
【受講資格】どなたでも受講できます
【受講費】月額11,000円(税込)
※ クレジット払いのみ
※ 初月度分のみ購入時決済
以後毎月26日に翌月受講料を自動課金
例)2025夏申し込みの場合
購入時に2025年6月分を決済
2025年6月26日に2025年7月分、以後継続
・2クラブ目以降は、半額でお申し込みいただけます。
・1クラブ申し込みされた方にはクーポンが発行されますので、そちらをご利用の上、2クラブ目以降をお申し込みください。
勝手にアカデミア
編集的先達:三枝博音。多読アレゴリアの【勝手にアカデミア】は、鎌倉に生まれた伝説の学校「鎌倉アカデミア」をもどきながら、トポスにトピカ、映画に産業、文学に演劇……などなど勝手に学び、勝手に語らい、勝手に創出する。
夏、高見順の『敗戦日記』を読む【勝手にアカデミア/多読アレゴリア】
戦後80年のこの夏、多読アレゴリアのクラブ【勝手にアカデミア】は、高見順の『敗戦日記』を共読します。 「鎌倉アカデミア」は、戦後すぐ、鎌倉に誕生しました。敗戦で「なにもない」中、人々が欲したのは「知」で […]
【勝手にアカデミア】『鈴木清順エッセイコレクション』×3×REVIEWS
戦後すぐに鎌倉にできた伝説の学校「鎌倉アカデミア」。多読アレゴリアの【勝手にアカデミア】では、同校の「学びのモデル」を取り出してきた。25年春シーズンは、同校の映画科をもどき、卒業生・鈴木清順の方法を共読した。ではいっ […]
コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。