この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

2019年夏に誕生したwebメディア[遊刊エディスト]の記事は、すでに3800本を超えました。新しいニュースが連打される反面、過去の良記事が埋もれてしまっています。そこでイシス編集学校の目利きである守・破・花の当期師範が、テーマに即した必読記事を発掘&レビューし、みなさんにお届けします。
1回目は春ならでは、「めぶき」のテーマで発掘!
林朝恵 43[花]花目付の発掘!
■【Archive】ジャイアンリサイタル――46[守]の大冒険
師範代が初登板中に連載記事を書くなんて事件でした。編集学校で一番面白いことが起きているのが教室ではありますが、その模様をほぼリアルタイムで外に向けて書くということは、それなりの覚悟が必要だったはずです。仕事と掛け持ちしながら師範代をするだけだって挑戦なのに、ほぼ毎週、記事を配信するなんて並大抵のことではありません。何をアケて何をフセるのかの塩梅だって難しい。それでも角山祥道さんは工夫を重ね師範代とライターの両方をやってのけました。どんなゴールが待っているのかもわからない中、綴られた師範代の言葉は瑞々しく、今読んでも胸がジュワッと熱くなります。ぜひ「未来の師範代」にこそ読んでもらいたい
戸田由香 54[破]番匠の発掘!
「めぶき」ははじまりの季節。なににせよ物事のはじめには占いがつきものだ。雑誌の占いはスルーだが、この記事はわたしの眼にまっすぐ飛び込んできた。今日の運勢ではなく、エディストタイプ占いというところが嬉しい。十人のエディストタイプは《白川静》をはじめとして、イシス人なら誰もが知る編集ビッグネームばかり。らしさ満載な似顔絵付きなのもいい。占うのは推命道観教室の名をもつ竹川智子師範。似顔絵はプロのイラストレーターで勇敢パレット教室の西森千代子師範代。フムフム、松岡正剛校長は《黒澤明》なのね。さて、わたしは? ……結果はやれうれしや、校長と同じタイプだったのでした。この占いで、新たなあやかり先を発見できるかも?
景山和浩 55[守]師範の発掘!
■時を超えた足元ミーム ~ウルトラマンからヘビへ~ 53[守]伝習座
その日の校長校話では、ヴィヴィアン・ウエストウッドの言葉が紹介されていた。「靴から決めなさい」。そのため福澤美穂子師範のカーソルは、いつも以上に足元に向かっていたのだろう。53[守]春の伝習座だった。「冨澤学匠のウルトラマンのスニーカーを覚えていますか?」。帰りの小田急でそう聞かれた。用法解説を担当した石黒好美師範のヘビ柄のパンプスを見て思い出したという。冨澤学匠の勝負服。ぜひエディストをと持ちかける前に、福澤師範の中では既に構想を練り始めていたようだった。靴から決める・ヘビ柄のパンプス・ウルトラマンのスニーカー。足元に受け継がれるミーム。久しぶりに[守]に帰ってきた福澤師範ならではの記事が生まれた瞬間だった。
芽は形成されてからある段階になると、成長を停止して休眠状態となります。「めぶき」のためには、気温上昇や日照など外部条件が必要です。では私たちの「めぶき」の条件とは? 「他者の見方」は外部刺激となって新たな芽吹きをもたらしてくれるかもしれません。
みなさんも、遊刊エディストの中から「めぶき」でピンと来る記事を発掘してみてください。きっと新しい発見があるはずです。
アイキャッチ/阿久津健(55[守]師範)
編集/角山祥道(43[花]錬成師範)
イシス編集学校 [花伝]チーム
編集的先達:世阿弥。花伝所の指導陣は更新し続ける編集的挑戦者。方法日本をベースに「師範代(編集コーチ)になる」へと入伝生を導く。指導はすこぶる手厚く、行きつ戻りつ重層的に編集をかけ合う。さしかかりすべては花伝の奥義となる。所長、花目付、花伝師範、錬成師範で構成されるコレクティブブレインのチーム。
マッチが一瞬で電車になる。これは、子供が幼い頃のわが家(筆者)の「引越し」での一場面だ。大人がうっかり落としたマッチが床に散らばった途端、あっという間に鉄道の世界へいってしまった。多くの子供たちは、「見立て」の名人。それ […]
43[花]特別講義からの描出。他者と場がエディティング・モデルを揺さぶる
今まで誰も聴いたことがない、斬新な講義が行われた。 43花入伝式で行われた、穂積晴明方源による特別講義「イメージと編集工学」は、デザインを入り口に編集工学を語るという方法はもちろん、具体例で掴み、縦横無尽に展開し、編 […]
(やばい)と変な汗をかいたに違いない、くれない道場の発表者N.K。最前列の席から、zoomから、見守ることしかできない道場生は自分事のように緊張した。5月10日に行われた、イシス編集学校・43期花伝所の入伝式「物学条々 […]
発掘!「アフォーダンス」――当期師範の過去記事レビュー#02
2019年夏に誕生したwebメディア[遊刊エディスト]の記事は、すでに3800本を超えました。新しいニュースが連打される反面、過去の良記事が埋もれてしまっています。そこでイシス編集学校の目利きである当期講座の師範が、テ […]
花伝所では期を全うした指導陣に毎期、本(花伝選書)が贈られる。41[花]はISIS co-missionのアドバイザリーボードメンバーでもある、大澤真幸氏の『資本主義の〈その先〉へ』が選ばれた。【一冊一印】では、選書のど […]
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。