この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

毎月公開されるEdist記事は30本以上! Edist 編集部メンバーたちから、見逃せない ”今月のイチオシ1本” をお届けします。今月はゲストに、48[守]で初の師範をつとめるジャイアンこと角山祥道師範、そして現在47[破]受講中の学衆 加藤陽康さんをお迎えして、ワイワイお届けいたします。学衆さんにゲストSelectしていただくのは初となります。
では、遊刊エディストをさらに楽しむ「エディスト・セレクション」、どうぞ。
◎遊刊エディスト編集部◎ 吉村堅樹 林頭, 金宗代 代将, 川野貴志 師範, 後藤由加里 師範, 上杉公志 師範代, 梅澤奈央 師範、松原朋子 師範代、47[破] 加藤陽康、角山祥道 師範
⦿【AIDA Season2 第1講 速報!】七巨頭、豪徳寺に会しておおいに問題提起する
[AIDA] のSeason2が始まった。テーマは「メディアと市場のAIDA」。「シーズン」とつくと海外ドラマのようだが、[AIDA]は面白い海外ドラマのように面白い(どうせなら、もっと海外ドラマに寄せて、各シーズンの主題歌もつくってもらいたいし、ゾクゾクするトレイラーも見てみたい)。
この記事のように、エディストも連動して、ニュース記事を出していく予定なので、ぜひフォローしてみてほしい。近々、公式サイトもオープンされる。ちなみにボードメンバーの大澤真幸は多読ジムSPコースの第一弾のゲストでもある。多読SPの盛り上がりっぷりもすごい。いま、イシスで”知”殻変動が起こりつつある…。── 金 宗代
いきなりマツコ’s Plus 4 !
AIDA Season1のレクチャー録!執筆はもちろん金副編集長。
イシスの”知”殻変動の兆しがこちらでも。花伝所が”編集的振動”に波立っています。
ここ数期、花伝所が始まるたびに密かに心待ちにしている連載です。ライターは深谷もと花さん。34[花]で花目付ロールに抜擢された2020年秋以来、講座の動向を深谷さんならではの注意のカーソルで描出しています。
花伝所の日々が綴られる中、時折滲み出る、以下のような深谷さんの花伝生へ期待や譲れない編集工学へのおもいに、読み手も思わずゾクゾク・ワクワクと振動せずにいられません。
36[花]20名は、自己言及の倍近い言語量を費やして他者交流を志向している。
「速さと深さを両立するのは難しい」と多くの人が口にする。けれど私はそれに共感しない。(中略)そもそも「速度」と「深度」は、「感度」を親とする二点分岐なのだと思う。
第1回([週刊花目付#001] 解釈の冒険、あるいは表象の発見)から通読いただきたい連載です! ──上杉 公志
「遊刊エディスト」はちっぽけな一学衆の僕をして秋祭りの景色に見えます。弱ったフィラメントの白熱電球に照らされて綿菓子や仮面が変形する、露店のひしめきというあの薄い膜でできた鳥居を抜けて、拝殿にて氏子が神事を仕る場の感が、この記事に乗ってやってきたと思いました。世界との嵌まり込みに際して私の脆さを受け容れる表情がうつります。一人一人が別々の切実を消化不良しているという眼横鼻直さがあります。まなざしの奥に祭り囃子が聞こえます。──加藤 陽康
マツコ’s Plus ? 加藤さん、Edistデビューの巻。
バンキシャは見た!イシスDANZEN 五人衆【77感門】
4 後藤’s イチオシ!
「本と同じくらい映画が好きな」太田香保総匠によるOTASIS最新号。映画の予告篇を新たな分類でわけ、その”詐欺師”っぷりを堪能するという。新しい価値観を提案してくれています。本篇を見たらその存在を忘れがちな予告篇。これからは本篇鑑賞後に予告篇に一旦戻り、そこに込められた編集にも目を凝らして、自分がいかに素敵に騙されたのか、じっくり考えてみるのも編集稽古になりそうです。予告篇のみならず、本の帯についても分類して欲しいとリクエストしたいです。
ちなみに最近、レディ・ガガ主演「ハウス・オブ・グッチ」(リドリー・スコット監督)の予告篇を事あるごとに見て胸を高鳴らせています。さて、吉と出るか凶と出るか。── 後藤 由加里
伏せられたら開けてみたい。隠されたものは暴きたい。女湯に忍び込みたいという禁じられた欲望、それがこの記事で満たせるかもしれません。
エディスト初の覆面記者が潜入したのは、ゴートクジのトイレ。男子閑所には『うんこの博物学』がふんぷんと臭い、女子化粧室では田中優子先生に絶対的自由を秘伝されているらしい。なぜMは、あの薄暗い個室でサントリー学芸賞に輝く重厚な映画論を読ませるのか。遊刊エディスト読者が決して知り得ないネタが、今月スクープされました。
この記事の仕掛け人は、ISIS館の住人だという「赤堤憚読組」。書き手も語り手も匿名であるからこそ、トイレ本の実態とその謎だけが余計妖しくネオンに照らされるようです。予想外の本がそこにあるだけで、我々は出すものもそこそこに、小さな個室で考える人になってしまう。あたかもバンクシーの企みに翻弄されるような愉悦をおぼえました。やはり、BOOK BOBMER SEIGOWです。── 梅澤 奈央
⦿【47[破]師範代エディション】稽古にはエロティックなパサージュを? 学衆が読みたい千夜10選
オレサマに1本に絞れだと? 生意気な。イシスのジャイアンさまが選ぶのはこの2本だ! という前フリは冗談ですので念のため。
「注意のカーソル」の当て方次第で何でも事件になる、とは遊刊エディストで学んだことですが、中でもハッとしてグーなのがこの2本。
ウメコ番記者がカーソルを当てたのは「47[破]師範代が開講に際して、教室や勧学会にどんな千夜を持ち込んだのか」。
この切り口ひとつで、教室の日常を事件化しています。「編集かあさん」のテーマは長男くんの「なんでもスコア化」。
彼の手にかかればオセロゲームの推移もスコアに! 守の「わける」稽古に繋がる視点です。どちらも、注意(attention)の力に目を見張りました。── 角山 祥道
─ イシスの今をPick!
永久保存版のお宝記事だ。多読ジムスペシャル「大澤真幸を読む」のオープニングセッションでは著者・大澤真幸自らが1時間以上に渡って、『世界史の哲学』をいかに読むかという視座とライフワークともいえる大著を手がけるに至った二つの動機が明かされた。動機の一つは日本の人文知の土壌の目を覆わんばかりの衰退への憂い、もう一つは登校拒否だった高校時代の恩師である世界史の先生への40年越しの応答。受講者である読衆の熱意が大澤にここまで語らせた。歴史的一日の記録でもある。── 吉村 堅樹
みなさんのオシは、見つかりましたか?
以上、2021年10月の記事から、編集部イチオシ記事を厳選してお届けしました。
また次回もどうぞお楽しみに~
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
イシス編集学校のアドバイザリー・ボード「ISIS co-mission」(イシス・コミッション)に名を連ねる9名のコミッション・メンバーたちが、いつどこで何をするのか、編集的活動、耳寄りニュースなど、予定されている動静を […]
田中優子の酒上夕書斎|第一夕『普賢』石川淳(2025年5月27日)
学長 田中優子が一冊の本をナビゲートするYouTube LIVE番組「酒上夕書斎(さけのうえのゆうしょさい」。書物に囲まれた空間で、毎月月末火曜日の夕方に、大好きなワインを片手に自身の読書遍歴を交えながら語ります。 &n […]
【多読アレゴリアTV】一倉広美の「イチクラ!」着物をアートでコーデする
芽吹きの春から滴りの夏へ。いよいよ熱を帯びてきた多読アレゴリアの旬をお届けします。松岡正剛より「支度天」の名を受けたダンドリ仕掛け人・武田英裕キャスターと共に、守師範の一倉広美がアシスタントをつとめる『多読アレゴリアTV […]
この春オープンした「多読ジムClassic(25春)」も、数日のアディショナルタイムを経て、5月28日に今シーズンを無事に終了しました。3つのトレーニングお題を一挙出題! という初の試みのなか、好きなお題から、自由に行っ […]
イシス編集学校で予定されている毎月の活動をご案内する短信「イシスDO-SAY(ドウ-セイ)」。 6月のDo-Sayをお届けします。今月はイベントを多数予定していますよ!そして、イシス編集学校初のクラブ活動 […]
コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。