この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

毎月公開されるEdist記事は30本以上! Edist 編集部メンバーたちから、見逃せない ”イチオシSelection” をお届けします。
5月は、ゴールデンウィークもなんのその。4月にスタートしたコースたちが立ちあがり、躍動し、子供から大人までが集って、編集をとことん楽しむ季節がはじまっています。
今月は、スポーツ新聞社デスクである”景山30点番匠”による記事で「8番・ピッチャー」として登板した江野澤由美師範がゲスト参加です。
それでは、遊刊エディストをさらに楽しむ「エディスト・セレクション」、どうぞ。
◎遊刊エディスト編集部◎ 吉村堅樹 林頭, 金宗代 代将, 川野貴志 師範, 後藤由加里 師範, 上杉公志 師範代, 梅澤奈央 師範代、松原朋子 師範代 + 江野澤由美 師範
─ イシスの周りに起きている未知の集いでPick!
千夜千冊エディション学習会。
イシスの周りに起きている、未知の集いを垣間見れるエディスト記事ならではの面白さ。
会のお題は、今まさにわたしも読まんとす「サブカルズ」!
都築響一の『TOKYO STYLE』と大竹伸朗の『全景』を携え本棚で待つわたしの『サブカルズ』、いよいよ開いてみようと相成りました。
ふむふむ、原型を捉え、そこに根無し草的サブカルジャパンが連なり重なる全3章か。
ん、他の千夜千冊エディションは4章構成だけど、なるほどそうした構造ね。
お、「追伸」にこのワケが書かれてる。
増殖しすぎた扱いたい本たちの連なりぶりもまた、サブカルズらしさに思えてくる。
学習会の型が語られ、また章立ての秘密もちらり書かれて、ひとり学習会をはじめます、この記事で。
松岡校長、もちろん読むだけでは終わらない。
次に生まれるべきサブカルズまで見据え語られたことも、記事にはちらり。
小さな差異、方法日本、個別の土地に根付いたサブカル耕し。
ナニナニ?
ポンと置かれたターゲットをお供に、さてと進めてみようかなと、元オリーブ少女をエディションかぶりつきにさせた記事、あなたもぜひご一緒にどうぞ。
── 江野澤 由美
テレワークが常となったこの一年。今や季節を感じさせてくれるのは近所のスーパーに並ぶ季節の果物か松井路代さんの「編集かあさん」か。今回の「編集かあさん」は春の蓬摘みのエピソード。腰を落とし「子どものことは半分忘れて」蓬摘みに夢中になる松井さんの視線は低く、春の陽気と土の匂いを感じさせてくれます。
小学校の帰り道、ランドセルを放り投げて友達とシロツメクサで花かんむりを作ったり、ツツジが咲けば蜜を吸ってみたり、タンポポの綿毛はどこまで飛ぶか吹いてみたり。あの頃「理科の教室」はいつも身近にあったことを、編集かあさんが教えてくれます。4月は編集学校待望のイシス子どもフィールドがオープンしました。編集かあさんシリーズもここから益々見逃せません。──後藤 由加里
デビューしたて、まだ少年だった郷ひろみは、毎日寝る前に「ぼくがんばる。ぼくがんばる」とつぶやいていたそうです。この記事は、イシスのスーパーアイドルである師範代にも、フラジャイルでいじらしい顔があると伝えてくださる貴重な資料でした。
師範代って、教室ではいつも凛々しいですよね。でも、楽屋裏では、回答が来なくて眠れず、指南がうまくいかなくて本気で落ち込むわけです。「師範代と名乗れなかった」と荒川樹里師範代がその痛切さを明かしてくださいましたが、自信なんて最初からない。なのにどうして教室でカッコよく振る舞えるのか。師範代というロールの謎を、5人の視点で読み解ける記事、ぜひみなさんで共読したいです。
執筆は、ジャイアンこと角山祥道師範代。18週にわたって教室のスナップショットを届けるだけでなく、こうして同期師範代の泣き顔まで描きとってくださいました。角山師範代と、尾島可奈子師範代は46[破]で疾走中。おふたりの現在進行系のドラマもいつか、お聞きしたいと思っています。── 梅澤 奈央
4 副編集長 金’s イチオシ!
連載コラム「千悩千冊」が誕生した経緯を皆さんはご存知だろうか。実はもともとこの企画は「僕」とサッショーによる「多読ジムpresents サッショーしまっせ!」という、本でお悩みに応える感門之盟のワンコンテンツだった。シーザーには人のモノを欲しがるという悪癖があって、サッショー企画もいつの間にか横取りされてしまった。しかも、なぜか横取りされた張本人の「僕」がこの千悩千冊の担当編集になった。さらにやれやれ、「0018夜」「0019夜」「0020夜」とナンバリングを見てお分かりのとおり、マジで4桁までやるつもりらしい…。でも、二人の”マジ”は「問感応答返+本」を読んでみてもらえれば、よくわかる。超くだらないお悩みにも、セツジツなお悩みにも、等しく”マジ”で「感応答返本」する。これが心地いい。シーザーもただただ横取りしただけではもちろんなくて、編集的礼節を持って、サッショーのパートナーロールを自家薬籠中のモノとしている。思い返せば、エディスト立ち上げを支えてくれたのもシーザーだ。極めればシーザー。次なるシーザー旋風に期待したい。サッショーはサッショーで、エディスト初の日刊連載、「読めば、MIYAKO」が始動する。 ── 金宗代
─ 流麗な文章表現でPick!
を推します。
リアル編集稽古イベントの記事化は、いかに特色を見せていくかが大切になると思いますが、上手に金沢の土地柄に話を広げ、「列を作ってバスを待たない」といった地元の人にしか分からないリアルな情報も、「武家の精神性や技芸の文化のなかに自分の存在の質を求める」といったスケールの大きな語りも無理なく折り込んで、「鈍感力」という新しい「金沢らしさ」を見せるところまで到達できている記事です。
ライターは新星の中川将志さん。デビューから素晴らしいのはそれもそのはず、脱稿までだいぶ井ノ上シーザー氏にしごかれたご様子。学衆時代以来の師弟関係はエディストの舞台裏でもしっかり続いていて、次世代エディスト育成の新しい可能性も見えた一本でした。── 川野 貴志
─ 応援ファンファーレでPick!
九天玄氣組十五周年企画であり、2月から始まった春のISISフェスタのトリを飾った九天のツアー記事。「一杯のお茶から九州を読み解く方法」と題したツアーをイシス秘伝のお茶「七茶の法則」に肖ってレポートしてくださっています。
執筆を担当したのは、今年の九天年賀で衝撃的(!)な『ドグラ・マグラ』表紙絵の女を飾った三苫麻里さん。たくさんの「茶(Cha)」で沸きたつ三苫さんの文体にCharmされた読者も多いはず! 十五周年をむかえますます加速する九天の現場を、これからも届けてください! ── 上杉公志
みなさんのオシは、見つかりましたか?
以上、2021年4月の記事から、編集部イチオシ記事を厳選してお届けしました。
また次回もどうぞお楽しみに~
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
イシス編集学校のアドバイザリー・ボード「ISIS co-mission」(イシス・コミッション)に名を連ねる9名のコミッション・メンバーたちが、いつどこで何をするのか、編集的活動、耳寄りニュースなど、予定されている動静を […]
田中優子の酒上夕書斎|第一夕『普賢』石川淳(2025年5月27日)
学長 田中優子が一冊の本をナビゲートするYouTube LIVE番組「酒上夕書斎(さけのうえのゆうしょさい」。書物に囲まれた空間で、毎月月末火曜日の夕方に、大好きなワインを片手に自身の読書遍歴を交えながら語ります。 &n […]
【多読アレゴリアTV】一倉広美の「イチクラ!」着物をアートでコーデする
芽吹きの春から滴りの夏へ。いよいよ熱を帯びてきた多読アレゴリアの旬をお届けします。松岡正剛より「支度天」の名を受けたダンドリ仕掛け人・武田英裕キャスターと共に、守師範の一倉広美がアシスタントをつとめる『多読アレゴリアTV […]
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イシス編集学校で予定されている毎月の活動をご案内する短信「イシスDO-SAY(ドウ-セイ)」。 6月のDo-Sayをお届けします。今月はイベントを多数予定していますよ!そして、イシス編集学校初のクラブ活動 […]
コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。