この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

毎月公開されるEdist記事は30本以上! Edist 編集部メンバーたちから、見逃せない ”イチオシSelection” をお届けします。遊刊エディストをさらに楽しむ「エディスト・セレクション」、どうぞ。
◎遊刊エディスト編集部◎ 吉村堅樹 林頭, 金宗代 代将, 川野貴志 師範, 後藤由加里 師範, 上杉公志 師範代, 梅澤奈央 師範代、松原朋子 師範代
─ グッときた1本でPick!
「ツイッター朱子学」というちょっとお気軽なタイトルには騙されるな。
なんとなく気楽に読めるかなぁ~と思ったら大マチガイ。一口サイズのつぶやきは読めども読めどもゴールが見えず、20個目あたりで「おや?」と思う。(つぶやきがいくつあるかはあなたの目で確かめてみてください)。エディスト編集部の権限を駆使し、文字数を覗いてみたら優に12000字は超えていた。(文字数だけでいったら最新千夜1777夜『ロココからキュビズムへ』を超えている!)。
ぽつぽつとはじまるツイートは序盤を過ぎればあとは朱子学にまっしぐら。しかし、直線ではなくワインディング。至る所に千夜リンクが貼られていて、金宗代の三冊筋プレスと松岡正剛の千夜千冊が多重螺旋構造のごとく絡み合っている。
想像するに本来の「三冊筋プレス」という多読ジムのお題としては、文字数・形式ともに相当逸脱しているのだろうと思うが、いくつものつぶやきの中には思いがけず、胸に刺さるものもある(ちなみに私は53番目がグサッときた)。”今日のうらない”的に気まぐれにつまみ読みするのもいいかもしれない。
金代将が旗振りをしている多読ジムSeason6の三冊筋プレスも順次公開中。そちらもどうぞご贔屓を。 ── 後藤 由加里
夏休みの読書感想文課題記事にしたいぐらいですよ。編集工学の型や用語が満載で、編集学校に学ぶ方たちにとっては格別の読み物だと思いました。
それに触発された後藤編集部員のオススメ表現がますます閑麗になっていく気がしています。いいなぁ!
オンラインに《ないもの》を炙りだした、2021年ならではの記事です。
この記事では、1694夜『トポフィリア』を引きながら「場所庫」としての本楼に醸成されたものがつまびらかにされています。書き手は、46[破]で唯一、伝習座にリアル参加した角山祥道師範代。北原・齋藤・福田の3師範の何気ない仕草の描写に、お三方の《らしさ》が強烈に迫ってきました。
そうか、ZOOM越しでは「アカン」は聞こえない……。私はこの伝習座にオンライン参加していたのですが、そういう情報が欠けていることにさえ気づかないわけです。その人らしさが否応なく滲みでてしまう息づかいが、画面越しではごっそり抜け落ちてしまう。そしてなくなったことにさえ気づかない危うさを改めて認識しました。
いっぽうで、物理的空間をもたないイシスのバーチャル教室には、なぜトポフィリアが宿るのか。文字だけで、どうしてその人らしさが立ち現れるのか。編集学校の神秘の仕掛けにも目をむけたくなりました。──梅澤 奈央
それにしてもウメコ編集部員のおすすめコメントも、表現がますます優婉な気がするなぁ。と思っていたら、吉村編集長の今月のPickは!!!
⦿タモリ・優作・アレクサンダー 自分史作れば、わたしが増える【イシスの自分史サンプル大公開】
[破]のクロニクル編集術は、自分史と新書の歴象を重ねて再編集する稽古。今春発刊された『情報の歴史21』の編集をミニ追体験できる。そこで会得したいのは、歴史というのは、どのようにも関係づけられ、いかようにも語り直すことができるということだ。この醍醐味を文章だけで語り直すのは難しいが、編集達人・ウメ子が3度再受講した学衆の素材を愉快に調理してみせてくれた。校長もなんでも書けるウメ子のような編集力がいまはもっと必要と太鼓判である。──吉村 堅樹
マツコからは、また別のウメコの魅力をお伝えしておきましょう。
マツコ’s Plus Five ~スポーツ紙かとみまちがう“ウメコきわきわを行く”の巻。
4 マエストロ上杉’s イチオシ!
⦿【このエディションフェアがすごい!01】ブックファースト新宿店
松岡校長の千夜千冊エディション20冊刊行を記念して始まった「千夜千冊エディションフェア」。そのスタートを飾ったのがブックファースト新宿店であり、これは米川青馬さんによるレポート記事です。
セイゴオ「ほんほん」で松岡校長も書かれているように、エディションフェアは「先頭を切った九天玄気組の中野組長チームと名古屋曼名伽組の小島組長の展示が先行モデル」に、「各地のイシス編集学校師範・師範代たちがすばらしいボランティアを推進して、各書店の店長や担当者とみごとなコラボを展開」しつつ拡大しています。
ぞくぞくと公開されている一連の「このエディションフェアがすごい!」記事もあわせてご覧ください!── 上杉 公志
最新のフェア記事はこちら↓
【このエディションフェアがすごい!28】ジュンク堂書店三宮店(神戸市)②
マツコ’s Plus One! ~編集の連鎖⛓
△ ISIS Twitter 合言葉は #知祭り
─ 流麗な文章表現でPick!
⦿イシス人インタビュー☆イシスのイシツ 【浅羽登志也の他力本願】File No.9
が素敵です。
「他力本願」というホットワードで浅羽さんの生き方を表現していますが、これって与件に応じて動く編集そのものだと思うんですよね。記事ではさほど編集術タームをつぎ込んでいるわけではないのですが、取材者の注意のカーソルはインタビュイーの編集態度に向かっていっているので、本質的なところでは、編集とはどういうことなのかを読者に感じさせる内容になっていると思いました。我が国のインターネットのクロニクルを裏側から見ている感じにもなれますね。── 川野 貴志
もともとライター歴が長いそうですね、そんな羽根田さんの目で見つめられた数々のインタビュイーが、“らしさ”はさることながら、またいつもと違う印象や表情を浮かびあがらせているのも、このシリーズのマツコ的魅力。連載10人目が目前です。10人を通じてみえてきた共通する「イシスのイシツとは?」があるのか、ないのか。羽根田さんに伺ってみたい!
みなさんのオシは、見つかりましたか?
以上、2021年6月の記事から、編集部イチオシ記事を厳選してお届けしました。
また次回もどうぞお楽しみに~
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
イシス編集学校のアドバイザリー・ボード「ISIS co-mission」(イシス・コミッション)に名を連ねる9名のコミッション・メンバーたちが、いつどこで何をするのか、編集的活動、耳寄りニュースなど、予定されている動静を […]
田中優子の酒上夕書斎|第一夕『普賢』石川淳(2025年5月27日)
学長 田中優子が一冊の本をナビゲートするYouTube LIVE番組「酒上夕書斎(さけのうえのゆうしょさい」。書物に囲まれた空間で、毎月月末火曜日の夕方に、大好きなワインを片手に自身の読書遍歴を交えながら語ります。 &n […]
【多読アレゴリアTV】一倉広美の「イチクラ!」着物をアートでコーデする
芽吹きの春から滴りの夏へ。いよいよ熱を帯びてきた多読アレゴリアの旬をお届けします。松岡正剛より「支度天」の名を受けたダンドリ仕掛け人・武田英裕キャスターと共に、守師範の一倉広美がアシスタントをつとめる『多読アレゴリアTV […]
この春オープンした「多読ジムClassic(25春)」も、数日のアディショナルタイムを経て、5月28日に今シーズンを無事に終了しました。3つのトレーニングお題を一挙出題! という初の試みのなか、好きなお題から、自由に行っ […]
イシス編集学校で予定されている毎月の活動をご案内する短信「イシスDO-SAY(ドウ-セイ)」。 6月のDo-Sayをお届けします。今月はイベントを多数予定していますよ!そして、イシス編集学校初のクラブ活動 […]
コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。