この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

何はともあれおめでとうございます。本日(1/9)はジミー・ペイジのお誕生日です。本の世界から幸せと出会いを運ぶサッショーこと大音がおみくじ本第六弾をお届けします。
通算六人目におみくじ祈願処を訪れたのは【スタジオ栞】<あんどー(いい男)>さん。多読ジムseason04最終日のお昼近くに駆け込みの祈願でした。2020年を託した本は『多読術』松岡正剛/ちくまプリマー新書+『伝習録』近藤康信/明治書院。
では、2021年への抱負(?)も聞いてやってください:
コロナが響かない。職場1分、酒場2分、スーパー5分。自宅から半径50M以内からほとんど出ず、唯一得意技”麻雀”をするのに博多天神地区に出向いていたのだが、1年ほど前から編集学校などに入ったせいで、あまり行けなくなった。お陰でコロナの影響が生活、人生に全く響いてこない。”いい男”あんどーに不幸は近づけない事が、証明されてしまったようだ。これだけ世間様と異なった感覚を持ってしまうと来年は”いい男”(キレッキレッ)になりそうで怖い。
あとは野となれ。ガラガラ・ガンガンガン!
おおーっ、末吉? いや笑吉だそうです。毘沙門天さまのお告げです。
『志ん朝の落語 全6巻』古今亭志ん朝・京須偕充編/ちくま文庫
志ん朝については1692夜『名人 志ん生、そして志ん朝』小林信彦で、そのキラッキラぶりが描かれています。YouTubeで今も高座に触れられ、彼が話し出した途端、江戸の風景が色調も空気感も豊かにパアーッと広がるのが、いつ聞いても不思議。<あんどー(いい男)>さんのように家から半径50Mを越えない方でも、時空間の旅ができる、というわけですね。
さらに本シリーズは各巻頭グラビアに掲載された「落語ノート」がお宝。落語には無論テキストはなく、口承での相対稽古が基本ですから、お稽古の後、記憶をたどり補強しながら記されたのでしょう。時に朱が入っていたり、身振り(首の向きを直す等)まで書き込まれたノートを見ると、世の中に苦労のない天才はいないと思い知ります。2021年、”いい男”(キレッキレッ無限)を目指し、あやかってみてください。
<あんどー(いい男)>さんからエディストの皆さんへの伝言は:
……運勢:笑吉
(本書からのお言葉)
「まーあ本当に旦那の声というものは…なんてんでしょうねえ。まあ、他所(わき)じゃあ聴かれませんですよ。ええ、なんとも言えない不思議な声で」(「寝床」より)
☆ 彡 ☆ 彡 ☆ 彡 ☆ 彡 ☆ 彡
大音美弥子
編集的先達:パティ・スミス 「千夜千冊エディション」の校正から書店での棚づくり、読書会やワークショップまで、本シリーズの川上から川下までを一挙にになう千夜千冊エディション研究家。かつては伝説の書店「松丸本舗」の名物ブックショップエディター。読書の匠として松岡正剛から「冊匠」と呼ばれ、イシス編集学校の読書講座「多読ジム」を牽引する。遊刊エディストでは、ほぼ日刊のブックガイド「読めば、MIYAKO」、お悩み事に本で答える「千悩千冊」など連載中。
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コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。