この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

おめでとうございます。本日(1/8)はデヴィッド・ボウイのお誕生日です。本の世界から幸せと出会いを運ぶサッショーこと大音がおみくじ本第五弾をお届けします。
五人目は【スタジオ栞】の<五十嵐冓務店>さん。気になるスタジオネームの理由は、お祖父さん譲りの屋号のヨミを「組み合わせる」意味のある「冓」の字で編集。2020年を託した本は『本棚の歴史 The Book on the Bookshelf』ヘンリーペトロスキー[著]池田栄一[訳]/白水社+『ベネッセ古語辞典』井上宗雄・中村幸弘法[編])/Benesseでした。
2021年の抱負は:
読書を基本単位とした生活を組み立てていきたいです。2020年は引きこもり生活をするかと思いきや、やむなく転居をするというアクシデンタルな年でした。何が訪れても泳いでいけるように準備を整えたいと思っています。
五十嵐冓務店の請負仕事や佐藤英太個人の活動をWEB上で発信(週イチが理想)して仕事を受注するのが目下の活動です。食い扶持を稼ぐことと遊戯性を大事にすることとを両立できるようにしたいです。
ここに幸あれ。ガラガラ・ガンガンガン!
おーや、これは珍しい。「パン吉」のおみくじがでましたよ。
『パンとペン─社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』黒岩比佐子/講談社
1709夜で取り上げられました。大逆事件のあとの「冬の時代」に、堺利彦がいかにラディカルな<やつし>っぷりで疾走していったかを追いかけた一冊です。
「ペンを以てパンを求むるは僕等の営業である。今度僕の社で拵へる年始の葉書には、食パンに万年筆を突きさした画をかいて、それを商標の代りにする事にして居る」という堺の檄は「愉快で痛快」な男の覚悟そのもの。明治後半から大正にかけて、行動も結社も翻訳も執筆も本当にスピーディですごいのは、それだけ世界を読もうとする意気に溢れていたのでしょう。
著者の黒岩さんは、まさに「読んで書いた」人。明治・大正・昭和の古書(雑書)収集の本もあるぐらいです。本書執筆が5分の4まできたところで膵臓がんにより入院。抗がん剤治療を続けながら残りを書き上げ、さらに推敲で3分の1を削ったとのこと。その壮絶さが堺利彦と重なります。五十嵐冓務店さんも一歩一食ずつをお大切に♪
…運勢:パン吉(ペン吉かも)
(本書からのお言葉)
道楽は道楽でも「命がけの道楽」だ、と堺は強調しているのだ。命を懸けた以上は一生かけてやり抜く、という覚悟も感じられる。
☆ 彡 ☆ 彡 ☆ 彡 ☆ 彡 ☆ 彡
大音美弥子
編集的先達:パティ・スミス 「千夜千冊エディション」の校正から書店での棚づくり、読書会やワークショップまで、本シリーズの川上から川下までを一挙にになう千夜千冊エディション研究家。かつては伝説の書店「松丸本舗」の名物ブックショップエディター。読書の匠として松岡正剛から「冊匠」と呼ばれ、イシス編集学校の読書講座「多読ジム」を牽引する。遊刊エディストでは、ほぼ日刊のブックガイド「読めば、MIYAKO」、お悩み事に本で答える「千悩千冊」など連載中。
「情報はひとりでいられない」。[守]入門のしょっぱなで出会ったことばが何度も胸に去来した。花と歌を楼主<泣き虫セイゴオ>に捧げようという願いに始まった5月11日のISIS FESTA【花歌果の戒】。参加者はたくさんのセイ […]
【参加者募集】2025母の日は、編集の父セイゴオを偲ぶ「花歌果の戒(かかかのかい)」へ、本楼へ
生と死はいつも背中合わせの裏おもて。背後の死を通じて目前の生をゆたかにする【終活読書★四門堂】(多読アレゴリア)より、特別イベントのお知らせです。 5月第二日曜の11日午後、豪徳寺赤堤のISIS館本楼に […]
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四つのシをめぐって、あれやこれやとアレゴリア、「終活読書★四門堂」も<冬:私>の季節はそろそろ大団円。バトンタッチに向けてスタンバイOKの<春:詩>担当の塚田堂守より、お誘いメッセージをお届けします。 […]
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【MEditLab×多読ジム】欲張りなドクトルになるには(大音美弥子)
多読ジム出版社コラボ企画第四弾は、小倉加奈子析匠が主催するMEditLab(順天堂大学STEAM教育研究会)! お題のテーマは「お医者さんに読ませたい三冊」。MEdit Labが編集工学研究所とともに開発したSTEAM教 […]
コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。