この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

第79回感門之盟で、49[守]を終えた師範代19名に「先達文庫」が授与された。編集学校では一期を全うした師範代に、松岡校長が自ら本を選んで贈る。師範が師範代をねぎらう感門表を授与し、先達文庫を託された鈴木康代学匠が、師範代を称えながら一冊一冊手渡していく。
◆相部礼子師範代 (忖度しないわ教室)
『本の本』 (斎藤 美奈子/ちくま文庫)
◆齋藤彬人師範代 (赤いランドセル教室)
『太陽の帝国』 (J・G・バラード/創元SF文庫)
◆寺田悠人師範代 (アニマ臨風教室)
『人間は、いちばん変な動物である~世界の見方が変わる生物学講義』 (日髙 敏隆/ヤマケイ文庫)
◆滝沢章師範代 (切実ゲノム教室)
『やわらかな遺伝子』 (マット・リドレー(著/文), 中村 桂子(翻訳), 斉藤 隆央(翻訳)/早川書房)
◆宮坂由香師範代 (感応おにぎり教室)
『ひと・ヒト・人 ――井上ひさしベストエッセイ続』 (井上 ユリ (編集), 井上 ひさし (著)/ちくま文庫)
◆野住智恵子師範代 (男装いとをかし教室)
『鶴川日記』 (白洲正子/PHP文芸文庫)
◆古谷奈々師範代 (にじゆら発色教室)
『琉球の富』 (柳 宗悦/ちくま学芸文庫)
◆小松原一樹師範代 (八段プラモデル教室)
『可愛い黒い幽霊』 (宮沢賢治/平凡社ライブラリー)
◆西村宣久師範代 (ニシダ鳥肌教室)
『西田幾多郎の憂鬱』 (小林 敏明/岩波現代文庫)
◆船山一樹師範代 (三叉毘沙門教室)
『芭蕉入門』 (幸田 露伴/講談社文芸文庫)
◆森重実師範代 (配線うなる教室)
『寡黙なる巨人』 (多田 富雄/集英社文庫)
◆三津田惠子師範代 (かく書く然り教室)
『ベートーヴェンの生涯 』 (ロマン・ロラン/岩波文庫)
◆三浦純子師範代 (ピッピ乱反射教室)
『終戦日記一九四五』 (エーリヒ・ケストナー/岩波文庫)
◆福井千裕師範代 (きざし旬然教室)
『渡りの足跡』 (梨木 香歩/新潮文庫)
◆安田晶子師範代 (キジトラ疾走教室)
『ものがたりの余白 エンデが最後に話したこと』 (ミヒャエル・エンデ/岩波現代文庫)
◆古澤正三師範代 (脱皮ザリガニ教室)
『カラハリが呼んでいる』 (マーク・オーエンズ, ディーリア・オーエンズ他/ハヤカワ文庫NF)
◆辻井貴之師範代 (渇望ネオモード教室)
『いい感じの石ころを拾いに』 (宮田 珠己/中公文庫)
◆総山健太師範代 (ライ8反攻教室)
『先生と私』 (佐藤 優/幻冬舎文庫)
◆大塚信子師範代 (唐傘さしていく教室)
『月と幻想科学』 (荒俣 宏,松岡 正剛 (著), 岡和田 晃 (解説)/立東舎文庫)
「松岡校長が選ぶ一冊は師範代をひき上げてくれる格別の一冊です」と語る鈴木康代学匠(左)。千夜千冊にもなっている『やわらかな遺伝子』が贈られ、滝沢章師範代も思わず表情をほころばせる(右)
校長、松岡正剛。「(『やわらかい遺伝子』著者の)マット・リドレーは、世界で一番のサイエンスライター」など、言葉でも師範代一人ひとりをひきあげるメッセージを贈っていた。
ご卒門された皆様、おめでとうございました。
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。