この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

毎月公開されるEdist記事は30本以上! Edist 編集部メンバーが厳選した、見逃せない ”今月の推しキジ” をお届けします。
今回は、エディストの写真チームである倶楽部撮家のメンバー、そして、Justカテゴリーの記事執筆でおおいに活躍する福井千裕さんに、初Pickしていただきました。
今年最後の「イチ推し!編集部セレクション」、どなたの記事が選ばれたでしょうか? それでは今月の推しキジ、いってみよぅー!
謎の多いイシス編集学校について知ることができる「学校説明会」や「エディットツアー」。この記事は、そうした説明会やワークショップを担う「ワークショップエディター」について、阿部幸織師範が紹介くださったものです。阿部さんによると「ワークショップエディターとはイシスのアイドルである」とのこと。12月15日の学校説明会は阿部さん自身がワークショップエディターを担当します。イシスのアイドルのごとく、みなさんのご参加を熱く歓迎しています! ──上杉 公志
⦿【12/17日】エディットツアー・クリスマス特別編を本楼で開催!(音楽・軽食ドリンク付)
クリスマスといえばこの男。マエストロことオネスティ上杉が12/17に編集ワークのタクトを振るう。このクリスマスエディットツアー、毎年グレードがアップしている。前回はじめてのコラボとなった若林牧子が、明らかに参加費をはるかに超えるディナーで演出。今年は昼と夜の2回実施になっている。インスタグラムではオネスティのトイピアノと誠実味あふれた説明も聞ける。── 吉村 堅樹
少し[守]講座の記事作成の内幕を紹介したい。当記事は、マラソン好きの佐藤健太郎師範によるものだが、そもそもの与件は、(1)石黒好美師範が伝習座で素敵な用法2語りをした、(2)守で用法2が始まる、だった。守エディストチームは佐藤師範に記事化を依頼。稲垣景子デスクのもと、石黒師範の切り口を借り、自身の数奇に着がえ、学衆の走りを促す唯一無二の記事となった。出来事は、誰かが記事化しなければ「事件」にならない。当記事は、守エディストがチーム仕事で記事化=事件化した好例である。[守]を持ち上げるのは、少し手前味噌だけど。 ──角山祥道
⦿“エレボタ”に魅せられて――中野渡有美のISIS wave
「エレボタ」という言葉にも初めて出会いましたが、この「エレボタ」ことエレベーターボタンの観察をし続けているという方にも初めて出会いました。その衝撃波が凄くて、今月の推し記事に選びます。
写真の世界では「使い古された被写体」の一つに電柱があげられます。確かに街を歩きながらふと目線を上げると、電線が絡み合うカオスな電柱であるほど思わずシャッターを切りたくなる衝動に駆られます。
中野渡さんが「なにげなく写真に収めた」エレボタには一体どんなアフォーダンスがあったのだろうと記事を読むほどに気になってきます。そして気づけばエレベーターの歴史やエレボタの変遷まで、これまで何も気に留めなかったことまで興味が湧いてくるトリガーになる記事でした。
これからエレボタを見るたびにこの記事のことを思い出すと思います。 ──後藤由加里
⦿【オツ千vol.55 外伝】ムナーリでペアーノなデザイン探訪
穂積さんといえば編工研デザイナーでありオツ千の千夜小僧。
相方の千夜坊主・吉村林頭のエロス的編集術を間近で吸収し続けているせいか、ヘルメスのオツ千では男根だ陰茎だとオドオドしていたのに最近のバルトの回では「オツ千は”セックスを視たいというアドレッサンスな夢”の提供だ!」と言い放ったことに穂積さんのあらたな境地を見ました。
でもそれだけじゃありません。ある日の本楼で「文章もがんばりたい」と林頭に話しているのがちらっと聞こえてきたんです。この記事を読んで、あの時の話がさっそく!とホクホクしてしまいました。
デザインを通じた世界制作に血眼になるあまり、先日ほんとうに目から血を流した(林頭談)という穂積さんの文章的血しぶきと、「涙を流すほど感動した」というムナーリの方法的鮮血をたっぷり浴びてみてほしいです。 ──福井千裕
丸尾末広さんの個展開催に合わせて、久々に「マンガのスコア」のアップデート。丸尾末広展はもう閉幕してしまいましたが、堀江さんはエディストの新連載リレーコラム「遊姿綴箋」のライターチームに新加入し、連載スタートの第一走者を務めています。その他、遊姿綴箋チームは小倉加奈子、山本春奈、林愛などなど。乞うご期待。 ──金 宗代
みなさんのオシは、見つかりましたか?
以上、2023年11月の記事から、エディスト編集部の”イチ推しキジ” を厳選してお届けしました。
2023年もお読みいただきありがとうございました。
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
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イシス編集学校で予定されている毎月の活動をご案内する短信「イシスDO-SAY(ドウ-セイ)」。 6月のDo-Sayをお届けします。今月はイベントを多数予定していますよ!そして、イシス編集学校初のクラブ活動 […]
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。