この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

公開されるエディスト記事は、毎月30本以上!見逃してほしくないアノ記事コノ記事。エディスト編集部メンバー&ゲスト選者たちが厳選し、注目の”推しキジ” をお届けしています。
今回は、2025年4月に公開された記事の中から選ばれたオシ記事11選をご紹介します。
邂逅は 他者選本と 伏せにあり ~42[花] book party spiral~
イシス編集学校では本を贈りあう文化が根づいています。汁講や感門之盟などのリアルの場で本にメッセージを託し、仲間に一冊を届ける・・。その一つ、先の感門之盟で行われた「インター・ブッキング」の模様を切り取った、42期[ISIS花伝所]からの記事がこちらです。記事では誰が選んだ本がどなたに渡ったのか、そのつながりに光が当てられていることと、記事全体から本を贈りあう楽しさが伝わってきたところが印象に強く残りました。─後藤 由加里
【勝手にアカデミア】『鈴木清順エッセイコレクション』×3×REVIEWS
【勝手にアカデミア】『三枝博音と鎌倉アカデミア』×3×REVIEWS
フォーマットが凝っていて、ヘッドライン、リンク、太字・色付きの見出し、吹き出し、引用などさまざまな書式機能を使い、各要素をヴィジュアルに分節化しているから読みやすい。吹き出しを使うことで、「文章」ではなく「コメント」のような感じで、ライティングが得意でなくてもライトに参加できる仕組みもうれしい。三人というのもちょうどいい。この企画は、本を題材にしているので、イシス編集学校の外からの需要もあると思う。今後のさらなるアップデートに期待しています!──金 宗代
マツコ’s plus one!!
3×REVIEWS 書評リストはこちら!
?安藤昭子『問いの編集力』×3× REVIEWS
?ブレディみかこ『他者の靴を履く』×3× REVIEWS
?福原義春『文化資本の経営』×3×REVIEWS
?鷲田清一『つかふ 使用論ノート』×3×REVIEWS(43[花])
?前川清治『三枝博音と鎌倉アカデミア』×3×REVIEWS(勝手にアカデミア)
?四方田犬彦編『鈴木清順エッセイコレクション』×3×REVIEWS(勝手にアカデミア)
【ほんのれん】東京・虎ノ門の新書店「magmabooks」にて、ほんのれんラジオの棚ができます!
丸善ジュンク堂書店の新業態店舗「magmabooks」内に期間限定で現れた「ほんのれんラジオ」の棚。
ほんのれんと言えば、「百考本」や「旬感ノート」がありますが、ここには旬感ノートで紹介された「旬感本」が実際に並び、本の中を見て購入できるのが魅力です。
「本屋で体験?!」と思わず前のめりになってしまうマグマブックスは、知は熱いうちに打て、をコンセプトに、本に出会う体験を提供する新しい書店。読書というインプットのみならず、読後にアウトプットできる素敵なラウンジがあり、本屋にして読前・読中・読後の三間連結を楽しめるそう。在住の軽井沢から駆けつけたくなる記事でした! ── 長谷川絵里香
◎4/27スタート◎Adoは新古今!?『古今和歌集』『新古今和歌集』両読みで日本語の表現の根本に迫る【イシス唯一のリアル読書講座「輪読座」】
オンラインの学校でありながら、リアル講義を続けている唯一の場──それが「輪読座」です。
難解な古典を軽やかに紐解いてくれるのは、編集学校の“レアキャラ”とも言えるバジラ高橋。滅多に会えない存在だからこそ、「バジラってどんな人?」「輪読座ってどんな切り口の講座なの?」と気になる方にぴったりの記事です。
まるでバジラの声が聞こえてくるような語り口調の本文に加え、ジャケットプレイをポップに仕上げたアイキャッチ画像や、多彩なメディエーションも魅力的。
「Adoは新古今」というバジラの問いが気になる人は、ぜひ今からでも輪読座に参加してみてください。 ── 衣笠純子
マツコ’s plus one?
輪読座の詳細・お申込はこちら
https://es.isis.ne.jp/course/rindokuza
★講座スタート後でもお申込みOK!見逃した回は記録映像でお愉しみください。
「答えがあるクイズ」をもとに「答えがないお題」を作るには?【大惨寺】
イシスの中でお題が源泉かけ流しで湧いている大惨寺。入門者のエディットカフェにもれなく立っている「ISIS最古の『川向こう』へいらっしゃい。あなたも河原者に!」という立て看板も魅力的。そんな「お笑い」を掲げカッコをつけない大惨寺に、こんこんとお題が湧いてくる秘密をリバースエンジニアリングしてくれている白馬ッ苦連(バニー)さんの記事です。クイズであってクイズではないものってどんなもの?それって編集的自由に遊ぶお題になるの?気になった方は、白馬ッ苦連さんの落語のようにテンポのよい解き明かしに身をゆだねてください。── 林愛
どれほどの方がプロジェクト[大惨寺]をご存じでしょうか。そのはじまりは2023年のクリスマス。「クリスマスの朝から大興行「シン・お笑い大惨寺」」という記事が突如として現れました。そして、立役者であるデーヴ川崎さんが語りつくしてくださった2024年の新春放談。それからずっと欠かさず出題がされつづけ、回答が幾重にも交わされているお笑いラウンジがあるなんて、まあなんと壮大な秘境プロジェクトが走っています。林さんがおっしゃるように、白馬ッ苦連さんによる軽妙な文章のリズムのあるこの記事に身をゆだねて、体が反応したら、もう貴方も大惨寺に駆け込むしかないですね。編集魂、遊び心、幼心、お笑い根性?があるあなたなら、ご関心がわくにちがいありません!
知る人ぞ知る”正解”のないオンライン学校「イシス編集学校」の秘密とは。現学長・法政大学元総長の田中優子も驚いたメソッドの裏側
管理型マネジメントから脱却。“一人ひとりの可能性を引き出す”イシス編集学校の「師範代」の正体と「指南」という方法
現在、登板中の田中優子師範代が、師範代になる前に、師範、師範代の先達と対談を行った。こちらの記事はイシス編集学校に入門前の人に向けてのものであったが、テーマは「師範代」である。長年、企業経営者として第一線で活躍してきた奥本英宏師範がナビゲートして、人材育成といった観点から交わされたのは「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」「アセスメントとマネジメント」といった言葉など。イシス編集学校と企業の現場では何が違うのかを対比的に交わすことで、編集学校がもたらせるものが明確に見えてきた。── 吉村堅樹
1.風越と子育てと師範代のわたし――長谷川絵里香のISIS wave #49
私事になりますが、この春から音楽を専攻する高校生を対象に、「情報」の授業を担当することになりました。そのこともあり、「学びの場のあり方」について考える機会が増えています。その関心を抱えながら、4月公開のエディスト記事を読む中で、気になる記事を3本ピックアップしました。
選んだ記事に共通していたのは、「学び方や学ぶ場は決して一様ではなく、相互的で多様であっていい」という自由を大切にしている点、そしてその自由に編集工学が深く関わっているという点です。
・形式的な卒業式や「先生」という呼称を用いず、子どもたちの可能性をより豊かにする学びの場である「軽井沢風越学園」(1.)。
・各界の第一線で活躍する人々に生徒が直接会ってインタビューを行う「東京合宿」を、2008年から継続している名門進学校「灘高校」(2.)。
・「学校だけが学びの場ではない」と気づかせてくれたのがこちら。AIを対話的に活用しながら、「AIとの学びの場」を自ら創り出した佐藤龍太さん(3.)。
松岡校長は「イシスを見れば世の中がわかる」と語っていますが、今回の記事を選びながら、「エディストを読めば、これからの学びが見えてくる」と強く実感しました。
以上、2025年4月の記事から、エディスト編集部の”イチオシ” を厳選してお届けしました。みなさんのオシは、見つかりましたか?
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エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
イシス編集学校のアドバイザリー・ボード「ISIS co-mission」(イシス・コミッション)に名を連ねる9名のコミッション・メンバーたちが、いつどこで何をするのか、編集的活動、耳寄りニュースなど、予定されている動静を […]
田中優子の酒上夕書斎|第一夕『普賢』石川淳(2025年5月27日)
学長 田中優子が一冊の本をナビゲートするYouTube LIVE番組「酒上夕書斎(さけのうえのゆうしょさい」。書物に囲まれた空間で、毎月月末火曜日の夕方に、大好きなワインを片手に自身の読書遍歴を交えながら語ります。 &n […]
【多読アレゴリアTV】一倉広美の「イチクラ!」着物をアートでコーデする
芽吹きの春から滴りの夏へ。いよいよ熱を帯びてきた多読アレゴリアの旬をお届けします。松岡正剛より「支度天」の名を受けたダンドリ仕掛け人・武田英裕キャスターと共に、守師範の一倉広美がアシスタントをつとめる『多読アレゴリアTV […]
この春オープンした「多読ジムClassic(25春)」も、数日のアディショナルタイムを経て、5月28日に今シーズンを無事に終了しました。3つのトレーニングお題を一挙出題! という初の試みのなか、好きなお題から、自由に行っ […]
イシス編集学校で予定されている毎月の活動をご案内する短信「イシスDO-SAY(ドウ-セイ)」。 6月のDo-Sayをお届けします。今月はイベントを多数予定していますよ!そして、イシス編集学校初のクラブ活動 […]
コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。