この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

筆名、芸名、俳号、四股名。ハンドルネームから名門の名跡まで、世には様々な名付けがある。千夜千冊エディション『昭和の作家力』(角川ソフィア文庫)で取り上げられた41名の作家の中では、実に18名が筆名で活動をしていた。もしも、江戸川乱歩が本名の平井太郎で筆を執っていたら、三島由紀夫が平岡公威の名で活動していたら、文学史に残る昭和の名作は生まれていたのだろうか。
ISIS編集学校において”名付け”の最たるものは、師範代に授与される「教室名」である。世界でただ一つしかない教室名は「学匠ただいま!教室」から「近場のダイモーン教室」まで。不思議な教室名ゆえに、全く新しいワールドモデルがそこに誕生する。名付け親は、校長松岡正剛。どこにもない教室名は、虚にいて実を行う方法日本のエンジンとなる。
そして、この度ISIS編集学校に新しい名前が誕生した。その名は、倶楽部撮家。くらぶさっかと読む。作家ではなく撮家である。昨年夏にひっそりと発足したエディストカメラ部は、倶楽部撮家に突如”出世魚”をした。命名はもちろん校長松岡。突然の改名にメンバーは慌てふためきながら歓喜した。そして、撮家性を追い求めるべく、倶楽部撮家拝命記念として、全8名で『昭和の作家力』の撮影に挑んだ。それぞれの写真とともに今回の撮影ポイントと編集的先達撮家を添えている。肩の力を抜いて楽しんでいただけたら幸いである。
くらぶさっか【倶楽部撮家】
ISIS編集学校のカメラ好きな師範・師範代で構成されているカメラマングループ。主な活動内容は、ISIS編集学校イベントや書籍の撮影である。撮影した写真や動画は遊刊エディストやISIS編集学校Instagramを中心に発信している。2022年6月に後藤由加里、林朝恵、木藤良沢の3名によって、倶楽部撮家の前身であるエディストカメラ部を創立。同年7月に阿久津健、9月に福井千裕、牛山惠子が加入。2023年3月に宮坂由香、西村慧が仲間入りした。それぞれ東京・長野・大阪を拠点に活動している。2023年5月、校長松岡正剛により倶楽部撮家と命名される。
Instagram更新中!(@isis_editschool)
https://www.instagram.com/isis_editschool/
後藤由加里
編集的先達:石内都
NARASIA、DONDENといったプロジェクト、イシスでは師範に感門司会と多岐に渡って活躍する編集プレイヤー。フレディー・マーキュリーを愛し、編集学校のグレタ・ガルボを目指す。倶楽部撮家として、ISIS編集学校Instagram(@isis_editschool)更新中!
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コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。