らしさを書にうつし、師範・番匠を寿ぐ――52[破]玄々書【84感門】

2024/09/15(日)19:25
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 52[破]突破式では、初めて破の師範、番匠のロールをつとめた4名へ、「玄々書(げんげんしょ)」が贈られた。松岡校長の書を使いつつ、穂積晴明方源がそれぞれの師範、番匠の「らしさ」を軸にデザインを施した趣のある書となっている。原田学匠から、メッセージも添えて手渡された書はこちら。


◆桂大介 師範 書「銀破」(ぎんぱ)
 ひとつのところに留まらず、たくさんの私を実践している桂大介師範に贈られたのは「銀破」の書。ゴールドではなく、月の輝きの銀が桂師範らしいと校長も考えるのではないかという言葉も添えられた。やわらかい光がこれからも破の師範代たちを照らしてくれるだろう。

 

◆小林奈緒 師範 書「粹破」(すいは)
 すっきりと艶やかな語り口を校長も誉めていたという小林奈緒師範には、その佇まいに重ねて「粹破」の書が贈られた。粹(いき)な破の師範として、これからも活躍していってくれることは間違いない。

 

◆吉田麻子 師範 書「観破」(かんぱ)
 物語の素晴らしい書き手である吉田麻子師範。記憶のなかの印象的なシーンをしっかりと焼き付け、物語を書くときなどにそれを取り出して活かしている観察眼の高さから「観破」の書が贈られた。

 

◆白川雅敏 番匠 書「発句番」(ほっくばん)
 プロの編集者でなんでもできる白川雅敏番匠には、連句の最初の五・七・五である発句(ほっく)のように、破のリーダーとして口火を切っていってもらいたいという思いも込めて「発句番」の書が贈られた。どこか可愛らしい字にも、白川番匠らしさが漂っている。

 

 

スタイリッシュに艶やかに、記憶を物語に込めて、口火を切っていく指導陣たち。これからの破講座も楽しみだ。

 

ビジュアルデザイン:穂積晴明

  • 米田奈穂

    編集的先達:穂村弘。滋賀県長浜出身で、伝統芸能を愛する大学図書館司書。教室名の「あやつり近江」は文楽と郷土からとられた。ワークショップの構成力に持ち前の論理構築力を発揮する。

コメント

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山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。