この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

花伝所で2期以上指導陣をつとめた者に贈られるのが花伝選書である。今期は、花伝道場の宝刀である5名の花伝師範と4名の錬成師範、花伝所を統括し束ねる花目付、式目を更新し続ける花傳式部に贈られた。
◆花傳式部 深谷もと佳
◆花目付 林朝恵
◆花伝師範 岩野範昭
吉井優子
森本康裕
嶋本昌子
尾島可奈子
◆錬成師範 山本ユキ
神尾美由紀
小椋加奈子
中村裕美
今回の花伝選書に選ばれたのは、ISIS co-missionのメンバーでもあり、松岡正剛校長が「これまでにないすぐれた現代感覚に富んでいる」と賞した大澤真幸氏の『資本主義の <その先> へ』。
『資本主義の <その先> へ』大澤真幸/筑摩書房
田中所長は、ひとりひとりに花伝選書を手渡したあと、「資本主義の船から降りられないのか」という校長からのお題を考えたいと思っていてもなかなかそういう時間がなかったが、師範のみなさんとこの本を共読し、大澤先生にも教えを請いながらい花伝所を進めていきたいと語った。
ビジュアルデザイン:穂積晴明
写真:福井千裕
米田奈穂
編集的先達:穂村弘。滋賀県長浜出身で、伝統芸能を愛する大学図書館司書。教室名の「あやつり近江」は文楽と郷土からとられた。ワークショップの構成力に持ち前の論理構築力を発揮する。
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コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。