この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

ついに師範代が本楼に帰ってきた。およそ二年ぶりのことである。昨年春以降、伝習座はオンライン開催が常となり、師範代はいつも画面の向こう側にいた。(いや、厳密にいうとジャイアン角山祥道師範代だけは一度だけやってきた)リアルが久しぶりすぎたせいか、はたまた師範と師範代がお見合いのように向かい合っていたせいか、少しばかり畏まって47[破]伝習座2回目がはじまった。
11月20日(土)当日は師範講義、編集ワーク、チームミーティングなど7時間をゆうに超える相互編集の1日であった。今回は「本当によくやっている。いい期になる」と[破]学匠にも言わしめる10人の師範代にフォーカスして10shotします。
「編集ターゲットと学習のメトリックのあいだでプロフィールをもっと広げていきたい」
オブザ・ベーション教室 稲垣景子 師範代
「もっと複雑に。学衆がわからなくなってそこから見つけていくことを見せていきたい」
現象印象表象教室 佐藤健太郎 師範代
「破は型を束ねて新しい関係を創造する稽古」
レディ・ガラ教室 長島順子 師範代
「新しい師範代のカタチを作る、もっと冒険していきたい」
万事セッケン教室 堀田幸義 師範代
「一題ずつ問感応答返ができてきている気がする」
アイドルそのママ教室 新井和奈 師範代
「学衆さんがいて、教室が成り立っている」
時たま音だま教室 細田陽子 師範代
「破稽古はすごく自由。方法的なところをどう学衆に意識してもらうか」
未知トポ教室 小桝裕己 師範代
「プロフィールのところでゆらゆらしている。そこに焦りや不安があってもいい」
八客想亭教室 清水幸江 師範代
「知に対しての貪欲さをもっと露わにしていきたい」
泉カミーノ教室 山口イズミ 師範代
「方法によってどう見方を変えていけるか。学衆をどう唸らせていくか」
脈診カーソル教室 華岡晃生 師範代
「守で稽古した編集術がこんなに使えるとは」「守と破の指南は言語が切り替わるくらい違う」など気づきや発見が多い反面、さまざまな課題に直面しながらも歯を食いしばって教室に立ち続けるのが師範代でもある。ともに肩を並べて伴走する師範もまた、かつての師範代であった。自分たちの経験や今みている教室、47[破]の10教室を入れ子状態で鳥瞰して、精一杯の激励を師範から師範代に手渡していく。
「ネガティブ・ケイパビリティで宙吊り状態に耐えられるのがイシスの師範代である」丁寧に言葉を紡ぎながら学匠 原田淳子も師範代の背中を押して、後半戦に送り出した。
伝習座2回目が終われば、いよいよ「いいね!」では終わらない知文AT賞の講評発表がやってくる。
後藤由加里
編集的先達:石内都
NARASIA、DONDENといったプロジェクト、イシスでは師範に感門司会と多岐に渡って活躍する編集プレイヤー。フレディー・マーキュリーを愛し、編集学校のグレタ・ガルボを目指す。倶楽部撮家として、ISIS編集学校Instagram(@isis_editschool)更新中!
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コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。