この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

いきなり始まった45[破]「ハイパープランINFORM」プランニング編集術アワード予選。第75回感門之盟 INFORM共読区「P1グランプリ」本戦出場をめざし、師範が援軍となって応援編集を繰り広げる。あなたの琴線に響くのはどのプランだろうか?
◆リアルの漂泊
このプランは、コロナ禍で授業がオンラインとなり、学生がいなくなった大学のキャンパスをミュージアムに見立てて、「見立ての日本」を探ります。
古事記の「其嶋天降坐而。見立天之御柱。見立八尋殿」から始まり、能舞台、枯山水、四季造物趣向種、つくりもんまつり、ご当地銀座、ゆるきゃらまで、過去から現在に至る日本に脈々と流れるあわせ・かさね・ずらしという方法を様々な角度で知り、体験することで、その方法を次の世代へとつないでいくことを目指しています。
ただ、コロナ終息後、学生が戻ってくると、画像のようなことになってしまうので、新たに「見立て」ミュージアムに見立てられる場へと旅立ちます。例えば、リモートワークが定着して、空室になったオフィス、大型ショッピングセンターの出店で寂れてしまったシャッター商店街、閑散期のお寺、等々。リアルなミュージアムは、日本中、そして世界中の空き空間五十三次を漂泊するのです。
◆バーチャルの永続
沢山の人々を集めることができない今、このミュージアムは、空き教室とオンラインの空間をつなげ、リアル/バーチャルな自空間をゆるやかにうつろいます。バーチャルがリアルに貫入し、見立てるものと見立てられるものをあわせ・かさね・ずらすことで、見立てのための方法を明らかにし、共有できるものにします。見立ての共有知を蓄えるバーチャルな収蔵庫と、リアルと双方向に接続できるプラットフォームを永続的に運営することで、リアルな見立てミュージアムの浮遊性はさらに高まっていくのです。
◆そして、遍在するMITATE
リアルなミュージアムをすぐに出現させることができるようになることで、見立てという日本の方法は、やがてMITATEとなっていくでしょう。
では、見立てミュージアムでは、どのような企画が展開されるのでしょうか。
それをみなさんにお伝えするために、ぜひこのプランへ一票を!!
▼投票はこちら
45[破] ハイパープランINFORM
・投票締め切り:2021年3月6日(土)午前9時
→ 5)語りなザナドゥ教室/見立ての日本ミュージアム
日本のおくの花道
~あわせ・かさね・ずらし道五十三次~
きたはらひでお
編集的先達:ミハイル・ブルガーコフ
数々の師範代を送り出してきた花伝所の翁から破の師範の中核へ。創世期からイシスを支え続ける名伯楽。リュックサック通勤とマラソンで稽古を続ける身体編集にも余念がない、書物を愛する読豪で三冊屋エディストでもある。
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コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。