この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

いきなり始まった45[破]「ハイパープランINFORM」プランニング編集術アワード予選。第75回感門之盟 INFORM共読区「P1グランプリ」本戦出場をめざし、師範が援軍となって応援編集を繰り広げる。あなたの琴線に響くのはどのプランだろうか?
──プラン10:おまたせ・おまかせ教室/身近なミュージアム──
投票記事にも掲載した、このキービジュアル。
今回のアワードエントリーにあたり、ある学衆が制作した。石垣島で美術教師をつとめる大濱朋子だ。6歳と10歳の子をもつ母として、「このミュージアムが石垣に来たら、真っ先に子供を連れていきます」と手を挙げた。
(科学に)興味はあるけど、体感できる場所がなくって、いつの間にか学校の授業についていけないから、難しいものって思い込んで遠のいていくのかなと思います。
では、どんなプログラムがあるといいのか?
「身近でハイパー」を体験できる実験って?
10歳児へのインタビューもまじえ、渋江のプランイメージを、ビジュアルへと昇華していく。
よ〜く見ると、「身近なミュージアム」タイトルが、細かな文字の集合体でできていることがわかる。いずれも教室内の発言だ。言葉が重なって対話が深まっていくように、皆の言葉を重ねて、プランが立ち上がっていくさまを表現している。
「こんなこともできます」と大濱がイメージを飛ばすと、企画者である渋江徹も「作ってみました」とビジュアル表現に挑戦。
それを見た大濱が「楽しい!驚き!発見!って感じが伝わります」と刺激を受け、「すっごい晴天の公園や自然の中で<身近なミュージアム>がズレてても面白いかもと思いました。明日、写真撮れたら撮ってみます」と呼応し、17時間後には、3つのビジュアル案が届けられた。
師範代の古野伸治は「電球のクエスチョン型、いいですねぇ。凧の尾も、ツルのようにみえていい。シーソーは鮮やか。渋江さんの手作り感も好き」と目を細める。
校長 松岡正剛は[破]を語って「[破]は相互編集。編集的演出家として、現実に介入してほしい」と学衆を鼓舞しているが、[破]が目指す相互編集の風が、今まさにおまたせ・おまかせ教室に起きている。
一人で好きを追求することって、みんながみんなできることではない。好き!やりたい!もっと!って思ったら、その場限りではなく後に続くステージがなきゃだと思う。
本プランについて語った大濱の言葉が奥行きをもって45[破]に響く。
感門之盟当日「P1グランプリ」での本戦発表にも期待されたい。
▼投票はこちら
45[破] ハイパープランINFORM
・投票締め切り:2021年3月6日(土)午前9時
→ 10)おまたせ・おまかせ教室/身近なミュージアム
体験して身近な「不思議」を見つける、世界レベル科学者輩出プロジェクト
~シッテルは掘ってこう。ナンダロウは面白い! あなたの町にミュージアムを届けます~
福田容子
編集的先達:森村泰昌。速度、質、量の三拍子が揃うのみならず、コンテンツへの方法的評価、厄介ごと引き受ける器量、お題をつくり場を動かす相互編集力をあわせもつ。編集学校に現れたラディカルなISIS的才能。松岡校長は「あと7人の福田容子が欲しい」と語る。
書籍『インタースコア』の入稿間際、松岡校長は巻頭書き下ろしの冒頭二段落を書き足した。ほぼ最終稿だった。そろそろ校了か、と思ってファイルを開いて目を疑った。読み始めて、文字通り震えた。このタイミングで、ここにこれを足すのか […]
▼辰年と聞くと義兄の顔が浮かぶ。辰すなわち龍は十二支唯一の空想動物なわけだが、これがウズベキスタンでは鯨になるのだと、そのウズベク人の義兄から聞いて驚いたことがあるためだ。前の辰年より少し前のことだったと思う。なぜそんな […]
京都は神社が少なく教会が多い?◢◤[遊姿綴箋] リレーコラム:福田容子
▼京都はぞんがい教会が多い。人口10万人あたりの教会数は、全国47都道府県中じつに5位。寺院が意外にも13位どまり、神社に至ってはまさかの32位(つまり下から16位)だから、相対的に見て全国平均より神社が少なく、教会は多 […]
48[破]が始まった。 2022年4月2日(土)第一回伝習座。今期[破]で新たに師範として登板する戸田由香が、48[破]師範代陣に向けて、文体編集術の骨法をレクチャーした。 戸田といえば、エディストの […]
律師、八田英子の不意打ちには要注意だ。 半年ぶりにISISロールに復帰し、48[破]で初番匠に挑もうという2022年春。水ぬるむ3月にそのメッセージはやってきた。 「ふくよさん、お帰りなさーい」 八田 […]
コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。