この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

稽古は強かれ、情識はなかれ。実験するイシススタジオにも情識はないようだ。オンライン化に伴い33[花]は従来の入伝式を2回に分け、ガイダンスと入伝式を2週続けて行う。濃度を上げた入伝式当日の表と裏を10ショットでお届けする。
背には花 花目付の袈裟
世阿弥が『風姿花伝』を書いたのは乱世の時代であった。1400年と2020年の状況をかさねあわせ、入伝式の口火を切る三津田知子花目付。
道場カラーを身に纏う花伝師範
花伝所に”師範代”はいない。花伝生を指導するのは全員師範である。今期の四道場を率いる花伝師範。左からくれない道場・岡本悟師範、やまぶき道場・竹川智子師範、むらさき道場・深谷もと佳師範、わかくさ道場・齋藤成憲師範。
カメラマンカルテット
オンライン伝習座はカメラマンがいて成り立つメディエーション。小森康仁Dのもと前日リハからカメラワークをダンドリし、四人の呼吸をあわせていく。左から池田かつみ師範代、松岡校長、林朝恵師範、そして松岡事務所の西村俊克、寺平賢司。
わかくさに耳をすませば
道場ごとに花伝生が分かれて取り組む千夜共読ワークでは、四道場のディスカッションが本楼を一時賑わせる。その中でわかくさ道場に耳を傾ける校長。
今回の共読ワークに選ばれた千夜十選はこちら。
1.『免疫の意味論』(986夜)
2.『デカルトからベイトソンへ』(1241夜)
3.『心の社会』(452夜)
4.『ゲシュタルトクライス』(756夜)
5.『複雑性とパラドックス』(1066夜)
6.『宇宙の不思議』(1226夜)
7.『生物学的文明論』(1487夜)
8.『流感世界』(1738夜)
9.『世阿弥を読む』(1306夜)
10.『もし、日本という国がなかったら』(1545夜)
セイゴオの本棚チェック
オンライン参加者の背景には本棚があることも多い。本楼に入れ子のように本棚世界が重なり合う。この日も花伝生や師範の本棚をチェックする松岡校長。覗かれているのは花伝所期待の星、中村麻人錬成師範の蔵書。
花伝所を言語化する
入伝式を観察し、花伝所を言語化せよと召集されたのは前回の感門之盟の名司会コンビ、加藤めぐみ師範代と上杉公志師範代。速報は入伝式中にJUST。オンラインからは梅澤奈央師範代がレポートする。
稽古と英雄伝説の相関
特製フリップを使って花伝所での学びを英雄伝説五段階に言い換える深谷師範。工夫を凝らした見せ方は校長からも称賛を浴びた。
イシススタジオ琳派の如く
天井には行灯、本棚には書、ブビンガには道場四色、スクリーンには琳派を思わせる穂積デザイン。しつらいの空間演出でふるまいは決まる。
七枚の下書き
校長講義のための下書き。直前まで赤と青のVコーンで書き込みが行われる。但し、下書きに書かれたものを全て講義で話すわけではない。編集の余地は残しておく。
型と代
この日のために書き下ろした「型」の書。手には3Dプリンターで作られた松岡フィギュア。これが松岡っぽいと思うように私たちの中にはいくつもの型がインプリントされている。型をちゃんと考えない限り編集も思想もできないなと25歳の時に肚を決めた。そのきっかけは杉浦康平さんだった。型をめぐる講義は模造紙7枚に渡る。
型で大事なことは型は代になること。型で何にでもなれるし、何者でもないものになれる。世阿弥はそれを作ってきた。
世阿弥で始まった入伝式は世阿弥をもって締めくくる。
後藤由加里
編集的先達:石内都
NARASIA、DONDENといったプロジェクト、イシスでは師範に感門司会と多岐に渡って活躍する編集プレイヤー。フレディー・マーキュリーを愛し、編集学校のグレタ・ガルボを目指す。倶楽部撮家として、ISIS編集学校Instagram(@isis_editschool)更新中!
編集工学研究所 吉村堅樹が「編集」や「編集学校」について、ミニ動画で解説をする「林頭吉村の編集解説」をイシス編集学校YouTubeで公開中です。 イシス編集学校の「イシス」とは古代エジプト […]
守破離まるわかり ー イシス編集学校コースマップ 吉村堅樹の編集解説#05
編集工学研究所 吉村堅樹が「編集」や「編集学校」について、ミニ動画で解説をする「吉村堅樹の編集解説」をイシス編集学校YouTubeで公開中です。 イシス編集学校は、武道や芸道での修行における段階「守破離 […]
極める編集の仕上げ|[守]用法4 情報の表現 ー 吉村堅樹の編集解説#04
編集工学研究所 吉村堅樹が「編集」や「編集学校」について、ミニ動画で解説をする「吉村堅樹の編集解説」をイシス編集学校YouTubeで公開中です。 [守]で編集稽古する4つの用法を林頭吉村堅樹が解説するシ […]
世界を編集する方法教えます|[守]用法3 情報の構造化 ー 吉村堅樹の編集解説#03
編集工学研究所 吉村堅樹が「編集」や「編集学校」について、ミニ動画で解説をする「吉村堅樹の編集解説」をイシス編集学校YouTubeで公開中です。 [守]で編集稽古する4つの用法を林頭吉村堅樹が解説するシ […]
情報セットはセクシーに|[守]用法2情報の関係づけ ー 吉村堅樹の編集解説#02
編集工学研究所 吉村堅樹が「編集」や「編集学校」について、ミニ動画で解説をする「吉村堅樹の編集解説」をイシス編集学校YouTubeで公開中です。 林頭吉村堅樹が[守]で編集稽古する4つの用法を解説するシ […]
コメント
1~3件/3件
2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。