この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

得番録。学衆それぞれの稽古の進捗状況をまとめたもので、毎週師範代から届く教室のスコアだ。破では、稽古が始まったその週から配信される。再回答必須の破では、守よりも一層、自分自身が稽古の進捗マネジメントをすることが求められるからだ。
師範代が毎週集計をし、勧学会にアップする。43破でも10月14日の開講から最初の週末、週明けにかけてそれぞれの勧学会に届けられた。
阿久津健師範代は「得番録は、教室ごとに違った名前が付けられていて、多様な単位でスコアしていきます。回答と指南の記録だって、好きにハカッテいきたいですもんね」と書いた。社会では株価や偏差値、いいね!の数など、すでにスコアが用意されている。しかし、イシス編集学校では、スコアも単位も独自につくることが奨励される、第一界、1カナッテ…。週を重ねると増えていく数字。なんとも変わった単位で、一見すると何を示しているのかわからない。
今期43破の得番録では、師範代たちはどのようなタイトルで、どのような単位をつくったのか一覧にしてみた。
転界ホログラム教室 辻井師範代 転・Q・コスモグラフィア第一界
綾釣水鏡教室 米田師範代 あやの釣りいと:1本め
合氣プロセス教室 内海師範代 合プ COMBINATORiA 1巻
どろんこ天鵞絨教室 阿曽師範代 今様文様図譜◆~巻之一~
初音イズタロー教室 網口師範代 『the high isis school life 』 We are the istaro Stance OK ? no1
ホーム・ミーム教室 小林師範代 ミームプールの実験室 水深1M
羅甸お侠教室 嶋本師範代 【語り部たちのこれから】1
タクラミ草紙教室 阿久津師範代 謀って・カフェラッテ 1カナッテ
比叡おろし教室 福田師範代 華鳥の飛影 一号
ネーミングや単位に、教室名から1文字取り出したもの、連想を広げたもの、教室とはあえて違った異質性を送り込むことを狙ったもの。それぞれの編集意図、それぞれのモードがある。どんどん稽古が水に潜るように深まったり、神の使い文のごとく矢のように届いたり。
開講して1週間ではまだ白い得番録が、毎週回を重ねて、突破後には様々な模様を織りなすことになる。
相部礼子
編集的先達:塩野七生。物語師範、錬成師範、共読ナビゲーターとロールを連ね、趣味は仲間と連句のスーパーエディター。いつか十二単を着せたい風情の師範。日常は朝のベッドメイキングと本棚整理。野望は杉村楚人冠の伝記出版。
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事実は一つ。であっても、それに対する解釈は無数に。「なぜ」と「どうやって」は見る人の数だけあるのでしょう。大河ドラマもまた、ある時代・ある人物に対する一つの解釈です。他の解釈を知れば、より深く楽しめるに違いない。 冒頭、 […]
事実は一つ。であっても、それに対する解釈は無数に。「なぜ」と「どうやって」は見る人の数だけあるのでしょう。大河ドラマもまた、ある時代・ある人物に対する一つの解釈です。他の解釈を知れば、より深く楽しめるに違いない。 全てを […]
事実は一つ。であっても、それに対する解釈は無数に。「なぜ」と「どうやって」は見る人の数だけあるのでしょう。大河ドラマもまた、ある時代・ある人物に対する一つの解釈です。他の解釈を知れば、より深く楽しめるに違いない。 王朝 […]
コメント
1~3件/3件
2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。