<速報>多読ジム9/3(日)「目次読書ワークショップ」参加レポート

2023/09/03(日)22:20
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 バスケットボール男子W杯で日本代表による48年ぶりの快挙があった。自力での五輪出場は1976年モントリオール大会以来だったのだ。日本のバスケファンが歓喜に浸る時期を同じくして、読書する歓びを再発見するための目次読書法を用いたワークショップが豪徳寺の編集工学研究所の1F・本楼で9月3日(日)に開催された。ナビゲーターはイシス編集学校で読書術の伝道師である「冊師」を務める石井梨香。今回、ワークショップにおいて行われた自己紹介と目次読書についてレポートする。

 

 

 

 参加者相互の背景や特徴を自己紹介によって知っておくと、ワークショップでの対話が円滑になる。自分自身をお菓子に喩える「オカシなワタシ」がプチお題として提示された。「お湯に注がれるベビースターラーメン」からは、硬直した状態において周囲からの熱いエネルギーをもらうことで仕事等に邁進する参加者の様子を連想できる。また「黄な粉が飛び散る信玄餅」からは、たくさんの分野へと興味を持つ特徴が出ていた。メタファーの一種である「見立て」の方法を使ったことで、隣の参加者への興味が何倍も増幅する実感があった。

 石井は前日に国立劇場で鑑賞した近松門左衛門『曾根崎心中』の最終場面における一節「仇しが原の道の霜」について触れた。心中に向かう男女が踏みしめる霜は一歩進むごとに消えていく。死に近づいていることを見立てで表現していたのだ。話を聞いた参加者は方法の重要性に対して注意を向けていった。

 

 

 

 

 本楼の本棚紹介が行われ、参加者たちは目次読書をするための書籍を5分以内で選ぶ。読書術のネーミングに相応しく、目次の充実した新書が推奨されていた。その後、参加者は石井によるナビゲーションを受けながら、目次の中のキーワードを取り出しつつ、高速で読みを進めていく。提示された方法の型に沿って内容をまとめ、最後のワークでは3名ごとのグループに分かれて5分間隔で1名が本の紹介を行い、他2名がコメントや感想を述べた。たった15分で3冊の書物を読めたことになる。

 参加者からは「グループ内での本の紹介を通じて、直接読んでいない本のテーマを想像できた」「別の読みができることを3名で共有できた」「自分1人では読めない書物が、3名だと読めるようになるのではないか」などの感想が述べられ、充実した目次読書体験ができていた。読書を崇高な営みと捉えると、ついつい熟読に陥りがちだ。もっとカジュアルなモノと捉えて、目次を使って短時間で方法的に書物を読むことができるのだ。

 

 編集学校ではオンラインでも目次読書をするための場が9月9日(土)に用意されている。方法読書に興味を持たれた方はコチラをクリックいただきたい。

 

 

参加者9名が選んだ書物たち

 

  • 畑本ヒロノブ

    編集的先達:エドワード・ワディ・サイード。あらゆるイシスのイベントやブックフェアに出張先からも現れる次世代編集ロボ畑本。モンスターになりたい、博覧強記になりたいと公言して、自らの編集機械のメンテナンスに日々余念がない。電機業界から建設業界へ転身した土木系エンジニア。

コメント

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山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。