この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

定員30名、即満員間違いなし!
なんと村田沙耶香×多読ジムのスペシャル講座が実現する!
この記事を読む前に申し込んだ方がいいかもしれない!?
多読ジムSPコースは昨年スタート。第一弾は「大澤真幸を読む」でした(こちらも告知まもなく完売!)。ゲストの方にはオープニングセッションと、「読了式」に登壇していただきます。読了式ではアワードの授与、それからゲストと松岡正剛校長との対談がおこなわれます。
その第二弾のゲストが「村田沙耶香」さんに決まった、というわけです。第二弾のオープニングセッションは11/5、読了式は12/24です。
しっかりスケジュールを押さえてくださいね。
多読ジムSPは毎回、ゲストに応じてお題の構成が大きく様変わりします。今回も村田沙耶香ヴァージョンに衣替えしています。
たとえば、課題本。「大澤真幸を読む」では、大澤真幸さんがライフワークと位置づける「〈世界史〉の哲学」シリーズが課題本に定められました。一方、村田沙耶香ヴァージョンでは、村田さんのご希望も受けて、「村田沙耶香の著作ならどれでもいい」という、あえて課題本を決めないルールになっています。
また、最終成果物の形式ルールもまったく違います。「大澤真幸を読む」では一万字のレポートを書くことが課題だったのですが、これについても村田沙耶香ヴァージョンはきわめて自由度が高くなっています。
というのも、村田さんご本人から次のようにご提案がありました。「アウトプットは、村田作品を読んだ方々に自由に創作してほしい。書評、短編小説、俳句、マンガ、絵画など、どんな作品でもよいし、村田作品に縛られる必要もまったくない」、と。
これは革命的なことです。イシス編集学校でかつてこれほど自由なルールのお題は見たことがありません。いったいどんな創作作品が集まってくるのか、まったく検討がつきませんが、見事、村田さんの心を鷲掴みにした作品には、読了式で村田沙耶香賞が贈られます。
◉ ◉ ◉
さて、村田さんといえば、芥川賞を受賞し、大きな話題を呼んだ『コンビニ人間』ですが、本書は、千夜千冊1743夜でも紹介されています。
ここに雑誌「スタジオボイス」(2017年10月号)の企画で、松岡校長が村田さん、千葉雅也さんとともに《ゆらぐエロス》をテーマに鼎談したことが綴られています。
村田さんはこんなことを語っています。
こんな風にぺらぺらと喋っていいことなのか分からないんですけど、私はとても性の目覚めが早かったんです。肉体的な意味で、達するということを幼稚園に入る数年前から知っていました。物心がつく前から達していたので、性の目覚めが何によってだったのか、よく分からないんです。まず肉体的なものが先にあり、その後、小学生になり『魔女っ子メグちゃん』とか『まいっちんぐマチコ先生』とかのアニメを見て興奮を感じるようになっていったわけですけど、その興奮はどこか後付けであって。
だから、自分の肉体というものに対して肯定的というか、それが恥であったり、回避すべきものだという観念があまりないんです。だから平気でこのようにぺらぺらと喋って、友だちに心配されて反省するのですが、忘れてまた喋ってしまうんです。言ってしまえば、肉体的な性に対しての罪悪感というものがまったくないんですよね。すごく無垢な、無邪気なものとしてとらえています。
私たちは女性の初潮については話をしたり聞いたりすることがよくあるんですけど、男性からは精通の話をあまり聞かないんですね。
私は声ですね。声に対してすごく反応してしまう。子供の頃、アニメーションで女の子の魔女とかが「きゃー!」って悲鳴をあげたりすると、それがアニメ内でいやらしい意味ををまったく持っていなくても、すっごく魅惑的に聞こえてしまって。変身した強い、戦う女の子が捕まって悲鳴をあげているということが、とても扇情的で、すごくエロチックに感じられたんです。繰り返し何度も見てましたね。
小さい頃から人形とかよりも、毛の生えたものに甘えたいという気持ちがあって、それがエロチックな気持ちでもあり、母親に抱きしめられたいような感じにも近かった。こうしたものもオブジェに含まれますか?
これを読んでいると「どんな声で話すんだろう」「どんな話し方をするんだろう」と気になってきます。YOUTUBEで「村田沙耶香」と検索すると、村田さんが登場する動画がいくつかヒットしますので、ぜひそれらもチェックしてみてください。村田さんの新たな魅力を発見することができるはずです。
多読ジムSPの受講生は「リアル沙耶香」を目の前に読了式をおこないますので、どうぞお楽しみに。
ポハピピンポポピア星行きの宇宙船イシス号の切符はこちらです。
Info
◉多読ジム スペシャルコース「村田沙耶香を読む」◉
【受講期間】
2022年11月5日(土)~2022年12月24日(土)
【受講資格】[破]応用コース修了者
【定員】30名 定員になり次第、締め切りになります。
【受講料】55,000円(税込)
【お申込み】
金 宗 代 QUIM JONG DAE
編集的先達:宮崎滔天
最年少《典離》以来、幻のNARASIA3、近大DONDEN、多読ジム、KADOKAWAエディットタウンと数々のプロジェクトを牽引。先鋭的な編集センスをもつエディスト副編集長。
photo: yukari goto
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
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2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。