読書の再有事化へ!【多読ジムseason13冬・開講】

2023/01/10(火)20:52
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 今年も多読の季節が始まった。

 

 3か月周期でまわる多読ジムの冬シーズンは、ちょうど新年の始まりと重なる。開講日、各スタジオで点呼に次々と即応する読衆の声も、他シーズン以上に快活だ。ある読衆は「干支の兎に肖ってぴょんぴょんと進んでいきたい!」と決意を新たにし、別の読衆は「かねてより念願の『希望の原理』『夢遊の人々』『封建社会』を読み解きたい」とさらなる読書道の高みを目指す。全スタジオの模様をつぶさに見守る冊匠・大音美弥子もさっそく場の熱気に応じ、「ぶっちぎりの『読相体勢』を新たに築いてまいりましょう」と書院から発破をかけた。

 

 ジム歴の長い読衆にとって、こうした光景は毎年の恒例となりつつある。しかし、今年の冬シーズンはこれまでとは一味違う。4年目を迎えた多読ジムは、いよいよ序破急でいうところの〈破〉のフェーズへ向かおうとしているのだ。

 

 変化の兆しはすでにみられる。遊刊エディストでも告知があったように、今季はイシスの内外で“鳴りやまない編集”を体現しつづける析匠・小倉加奈子主催のMEdit Labコラボ企画が、「三冊筋プレス」お題として用意された。自身も病理医でありながら「医者に読ませたい三冊」を選んでもらおうという企画趣旨に、いかにも小倉らしい挑発味を感じずにはいられない。ジム読衆もいよいよ本丸に挑む気分でいることだろう。

 

 さらに今季は、スタジオ「みみっく」の冊師・畑本浩伸が抜本的に構築しなおした日々の読書記録帳「BOOKING」が再スタートを切る。前シーズンの多読SP村田沙耶香篇の受講をはじめ、「多読モンスター」への道を貪欲に歩んでいる“読怪人(どっかいじん)”ハタモトの企画となれば、こちらも目が離せない。今季受講者は寄ってたかって、日々の読書風景を記録していくことだろう。

 

 果たして今年はどんな多読イヤーになるのか? 新体制始動にふさわしく、歴代最高の登頂者数記録を打ち出すことができるのだろうか? 

 

 平時の読み書きを再有事化していこうとする多読ジムのニューフェーズに、ぜひとも期待されたい。

 

  • バニー蔵之助

    編集的先達:橋本治。通称エディットバニー.ウサギ科.体長180cm程度. 大学生時に入門後、師範代を経てキュートな編集ウサギに成長。少し首を曲げる仕草に人気がある。その後、高校教員をする傍ら、[破]に携わりバニー師範と呼ばれる。いま現在はイシスの川向う「シン・お笑い大惨寺」と、講座連携/師範交流ラウンジ「ISIScore」を行き来する日々。

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。