この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

毎月公開されるEdist記事は30本以上! Edist 編集部メンバーたちから、見逃せない ”イチオシSelection” をお届けします。
今月は、多読ジムの丸洋子 冊師、そしてDustでおなじみ井ノ上Dustyシーザー 師範が、オシをPick!
遊刊エディストをさらに楽しむ「エディスト・セレクション」、どうぞ。
◎遊刊エディスト編集部◎ 吉村堅樹 林頭, 金宗代 代将, 川野貴志 師範, 後藤由加里 師範, 上杉公志 師範代, 松原朋子 師範代 + 丸洋子 冊師 + 井ノ上Dustyシーザー師範
─ 流麗な文章表現でPick!
を推します。6日に行われたAIDA最終講では、「編集的社会像」に向け、「たくさんのわたし」「アバター」の編集が必要だとなんべんも俎上に載りました。をぐらさんの「正念場」の一週の軌跡は、まさに母親・病理診断医・火元組などのポリロール状態を内側から克明に描いています。「使い分け」に疲れ果てるのではなく、一つ一つのロールに入りこんで、そのプロフィールが車窓のように切り出されている記事です。AIDAで打ち出されたことは決してユートピア的な理想ではなく、現実に到達可能な編集状態なのだと確認できる一本です。─ 川野 貴志
かくゆう川野さんも、10月から生まれ変わったハイパーエディティングプラットフォームAIDAで、AIDA師範代のロールを担いました。ビジネスパーソン7人の“連”(編集学校でいうならば教室)をナビゲートされ、熟達した師範代の指南によって、普段のビジネス・シーンでは伏せられている“たくさんの私”が連に表出。最後は一人ひとりが言葉を綴った間論がつくられました!
マツコ’s Plus ワン
今回は久々のご登場が嬉しいこの方の記事を。
「編集稽古」「同朋衆」「先達文庫」につづく、丸さんの編集用語辞典シリーズ第4回。
丸さんの言葉に触れていると、モーリス・ラヴェルのオーケストラ版『クープランの墓』のプレリュードのような緻密さと、ピアノ独奏の『水の戯れ』を思わせる流麗さをいつも感じます。その文章は、清らかな言葉の水流に手を差し入れた時のような清涼感とともに、キラキラと朝日に反射する知の粒子で読み手を包み込んでくれます。
今回の記事でも「エディットタウン」を入り口に、「アリストテレス」から「テオリア・プラクシス・ポイエーシス」へ、ふわりと「問感応答返」にゆらめいて「アリスとテレス大賞」へと私たちを連れていってくれます。この記事そのものがまさに「アリスとテレス大賞」な文章の体現なのでした。
ご多用な時期もある中、こうして記事を届けてくださるのがとても嬉しいです。しばらくご無沙汰しているエディストライターのあの方やこの方^^の文章にも、またお逢いしたくなりました♪
ちなみに、作曲家の顔をもつ上杉さんならではの音楽的描写ですね、その“らしさ”をわかるためにも、曲をあとで聞いてみたいと思いましたとさ (笑)
ここでイチオシされた丸さんが、今月はPickする側として加わってくださったのも、差し掛かったうれしい偶然の産物?!
⦿見知らぬ花を見つけたら…? もう物語は始まっている。【ツアー@破】
[破]の魅力を伝えるエディットツアーを、原田淳子[破]学匠がレポートした記事です。
当日の様子をヴィヴィッドに伝えながら、原田さんが選んだ千夜千冊の一夜との巧みな重ね合わせが展開していきます。ツアーや【破】の醍醐味を、一夜と対角線を引いて掘り下げています。これが、物語構造の秘密を解き明かすこの一夜の格好の読み解きガイドにもなっていて、原田さんの多読・共読術を幾重にも堪能しました。
「共読」は、今回の感門之盟のテーマ。記事のエピローグで、編集学校の仲間という横の糸と、古代から連綿と繋がる記憶という縦の糸とで物語の共読の魅力を編み上げ、読み手の未知の可能性をカタチにするinformへと誘う学匠の語りは、感門の予告編にもなっているのかもしれません。─ 丸 洋子
4 シーザー井ノ上’s イチオシ!
⦿ エディスト虎の穴・ジャイアン人物伝 #004 堀文子の「既知から未知へ」、先達エディスト・太田香保の指南:
「一字一句に必然性を」。11年前の[離]で、オータ総匠の言葉に瞑目した井ノ上シーザーです。エディスト占いでは“西郷隆盛”、今年はチャンスに飛びこむぞ。おー。
さて。メトリック(計測)の確度がさすがな指南でした。レトリック(表現技法)手前の、ワールドモデルとキャラ設定への踏み込みに凄味ありです。手術室に入り、歩みを止めずにメスを取り、すーと切れ目を入れて露呈した患部に一言二言コメントし、きれいに縫合して立ち去る医術者の手腕を思わせました。設計でカマエて、言葉を選択しつつハコぶのが文章かと、再発見した次第です。 ─ 井ノ上 裕二
これ、[離]を味わったものたちからすれば、なんと恐ろしい、(おっと!)、いや、なんと光栄な機会たるや。ジャイアンへの指南に自ら手を挙げるという懐の深さ。シーザーがここに注目したのも納得です。
しかし、シーザーはEdist占いで“西郷隆盛”なんですね。チャンスに飛び込む2021年のシーザーも楽しみ★
マツコ’s Plus ワン
─ 祝1000達成でPick!
彼女はノーマークだった。記念すべき遊刊エディスト1000記事目を決めたのは46[守]石井梨香番匠。虎視眈々と”マッチポンプ“を狙う井ノ上シーザーを横目に卒門直前の3連打で1000記事目をさらりとゲットした。
46[守]は石井にとっても初めての番匠ロール。アイキャッチの書には番匠として迎える卒門へのまっすぐな願いが感じられる。エディストとして、番匠として益々の活躍が期待される石井梨香にご注目を!
─ 後藤 由加里
マツコ’s Plus ワン?! ミメロギア・クッキングが生まれた日。
みなさんのオシは、見つかりましたか?
以上、2021年2月の記事から、編集部イチオシ記事を厳選してお届けしました。
また次回もどうぞお楽しみに~
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
イシス編集学校のアドバイザリー・ボード「ISIS co-mission」(イシス・コミッション)に名を連ねる9名のコミッション・メンバーたちが、いつどこで何をするのか、編集的活動、耳寄りニュースなど、予定されている動静を […]
田中優子の酒上夕書斎|第一夕『普賢』石川淳(2025年5月27日)
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【多読アレゴリアTV】一倉広美の「イチクラ!」着物をアートでコーデする
芽吹きの春から滴りの夏へ。いよいよ熱を帯びてきた多読アレゴリアの旬をお届けします。松岡正剛より「支度天」の名を受けたダンドリ仕掛け人・武田英裕キャスターと共に、守師範の一倉広美がアシスタントをつとめる『多読アレゴリアTV […]
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コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。