この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

[守]講座の終わりが近づくと、決まって届く質問がある。「教室での発言はいつまで見られるのですか?」
インターネット上の教室でのやりとりがかけがえのないものだということの表れだ。見返すと、あの時のワクワクやドキドキが蘇る。記された言葉を通して、師範代や教室仲間、あの頃の自分との対話もできる。
2023年1月3日に逝去された山根尚子師範が残した言葉にはときめきがあふれている。読むだけで笑顔が浮かび、春風のような声も聞こえてくる。
2024年2月18日(日)、感謝と祈りを込めて「山根尚子さん惜門館」を開催します。
実行委員会では、ともに過ごした編集学校のあちこちから言葉や作品や好きなものを集め、本楼を山根スマイルで包むべく準備を進めています。思い出を語りあい、面影を共有し、新たな尚子さんと出会う場に、どうぞご参加ください。
山根尚子さん惜門館(せきもんかん)日時: 2024年2月18日(日)12時30分~18時
場所: イシス館 本楼(世田谷区豪徳寺)
会費: 3000円
主催:「山根尚子さんの惜門館」実行委員会▼お申し込み
https://shop.eel.co.jp/products/detail/637*本楼にて山根師範の映像、言葉、好きだった本などをご覧いただけます。
*15時頃からは、特に関わりの深かった方々にメッセージをいただきます。
★惜門お題★
「山根尚子さんっぽいもの」を持ち寄り、共読しましょう。
当日ご参加叶わない方も、以下のフォームから投稿してください。
https://forms.gle/QmHNmLiCSi9mkHacA
<山根師範のイシス編集学校での歩み>
36[守]に入門、39[守]39[破]師範代を経て、42[守]から5期連続で師範を担当。その後、花伝錬成師範を担当する直前に病気療養に入り、一年後、ヨガインストラクターのお仕事を再開するも再び入院、2023年1月3日に逝去。
石井梨香
編集的先達:須賀敦子。懐の深い包容力で、師範としては学匠を、九天玄氣組舵星連としては組長をサポートし続ける。子ども編集学校の師範代もつとめる律義なファンタジスト。趣味は三味線と街の探索。
イシス編集学校九州支所「九天玄氣組」は今年20周年。発足会を行った9月の彼岸をめざし、周年事業を進めている。軸となるのは「九州の千夜千冊」を冠した雑誌の発行だ。松岡正剛の千夜千冊から選んだキーブック1冊ごとに33冊のグル […]
8年近く続いた黒潮大蛇行終息の兆しが報じられる中、イシス界隈に、これまでにない潮流がおこっている。 松岡正剛の「千夜千冊」をキーブックとし、「九州の千夜千冊」を冠した雑誌づくりが動き出したのだ。 イシス編集学校の九州支所 […]
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コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。