この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

講座が冒険になった。
イシス編集学校の物語講座で開講以来はじめてのお題改編が行われ、お題の一つ「トリガー・ショット」が「トリガークエスト」に大きく変わる。
クエストとは、探索や冒険の旅といった意味を持つが、ここではゲーム用語の意味が用いられる。ゲームにおけるクリアすべき課題という意味だ。物語講座を立ち上げたゲームクリエイターの赤羽卓美綴師の姿が見え隠れする。
「トリガークエスト」では、物語を書いている叢衆(学衆)に師範からクエストが出題される。叢衆の創作の進行や内容に応じて出されるクエストは、叢衆が「その時」に必要なクエストだ。文叢(教室)の他の叢衆とは異なるクエストが出題される。
これはイシス編集学校ではじめてのことだ。同じお題に取り組みながら共読し学びを深める編集学校の仕組みの中で、物語を書くまでの稽古過程が異なる初の試み。しかも出題されるお題がどれなのかを、指南する師範代も知らないなんて!
新たなシステムとなるお題改編のチャレンジに取り組んだのは、物語講座の顔である赤羽綴師、講座への情熱あふれる小濱有紀子創師。そして、お題工学エースとして名高い米川青馬師範、語り巫女の後田彩乃師範代、物語王子こと宮前鉄也師範代。約1年にわたるお題改編の道のりでは、さらに多くのメンバーが果敢に取り組んできたが、最後の仕上げを引き受けたのはこの5人だった。
先日行われた第77回感門之盟で配られた新聞『Editor Ship』の紙面で、改編5人衆が物語講座の魅力をクロスレビューしている。改編猛者が感じている講座のチャームをぜひご一読いただきたい。
いかがだろうか。書きたいものがあるから書くのではなく、偶然やってきたものからも物語を書く講座へ生まれ変わった物語講座。[守][破]の講座で学んだ方法論を実践する集大成の講座だ。方法のアイテムを手に、お題に立ち向かってほしい。
そう。講座の真の勇者は、受講するあなたなのだ。
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[遊]技法研鑽コース 「物語講座」第14綴
https://es.isis.ne.jp/course/yu#story
■期間 :2021年10月11日(月)~2022年2月6日(日)
ライブ稽古「蒐譚場」12月4日(土)
■資格 :突破以上
■プログラム:窯変三譚/トリガークエスト/編伝1910
■お申込み :https://shop.eel.co.jp/products/detail/305
※再受講割引あり。
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衣笠純子
編集的先達:モーリス・ラヴェル。劇団四季元団員で何を歌ってもミュージカルになる特技の持ち主。折れない編集メンタルと無尽蔵の編集体力、編集工学への使命感の三位一体を備える。オリエンタルな魅力で、なぜかイタリア人に愛される、らしい。
グラスを回す指先に、本の記憶が香る― 「酒上夕書斎」第2夕 6/24YouTube LIVE開催
「酒上夕書斎」第2夕、開催決定。 ― 今度の一冊は、学長・田中優子をつくった“まさか”の読書体験。 ゴートクジイシス館から、月に一度の“本とワインの夕べ”をお届けするYouTube LIVE企画「酒上夕書斎(さけのうえの […]
2024年8月、松岡正剛が静かにこの世を去りました。 その直前まで松岡校長は、生涯一編集者というモットーを貫き、本を読み、言葉を編み、問いを投げかけ続けていました。 さまざまなジャンルのアーティストと親交を深めてきた […]
【見逃し厳禁】田中優子、ついに語りはじめる——読書家としての本領が明かされる「酒上夕書斎」スタート!
田中優子学長が、扉を開く——。 千夜千冊の1850の扉から才能を拓く稽古の種を見出すことができる、と語り続けている田中学長。 江戸文化研究者として広く知られ、多くの読者を魅了してきた。 しかしその深層には、 […]
【3/29開催】ゲストは近藤ようこさん!ISIS FESTA&感話集
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12/10(火)開催!岩波新書『昭和問答』出版記念トーク「喪失から創出へ――松岡正剛との対話」
田中優子学長の「はじめて」を共にしよう。 「書店でイベントは何度もやりましたが、きちんとしたホールで行うのは初めてなんですよ」 これまで多くの書籍を刊行してきた田中優子学長だが、出版記念イベントをホールで行うのは初だと言 […]
コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。