この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

夏の旅は、イシスコミッションの今福龍太さんとゆるやかな島めぐりの航海へ漕ぎ出しましょう。
小さな小さな島、短い短い言葉に注意をはらって!
2024年冬の初航海は、大西洋のうるわしい群島、カーボ・ヴェルデの吟遊詩人マリオ・ルシオの歌う小さな島々、魅惑的な短い言葉たちが連なった、今福船長の船出のメッセージからはじまりました。
この言葉は、今でも航海のお守りとなって、大切にされています。
群島ククムイでは、今福さんから手渡される言葉を鍵に、書物の世界を旅したり、言葉とイメージのあいだを往還し、新しい表現方法を探したり、オンラインやリアルでの共読会を開催しています。
春の航海の共読会で取り上げたのは、千夜千冊1639夜『戸井田道三の本 こころ・かたち・みぶり・まなざし』。本書は、今福さんが監修したものです。みなさんのなかで、交わしあいが深まったのが、以下の部分でした。
ーー最近はデジタル時計が出回っていて時刻を数字で
示してるけれど、それでは時刻はわかっても時間
は見えてはこない。初心を忘れないためには、い
つも時間がくりかえし見えていなければならない。ーー
(千夜千冊1639夜)
考えたこともなかったのですが、私たちは時計にもアフォーダンスされているんですね。時間とはなにか、デジタルとアナログの感覚違いなど、日々の暮らしの中では通りすぎてしまうところを立ち止まって深めることができるのが共読会の醍醐味です。また、この千夜千冊では、戸井田氏が記憶をヒキダシ型とマリモ型に分けて考察したことを松岡校長が面白がっています。それにあやかり、ヒキダシとマリモの絵を描いてみました。
航海の途中には、今福船長からメッセージや絵はがき、小さな寓話が届きます。台湾の別名はフォルモーサということ、台湾原住民ブヌン族の詩人、サリランのこと。台湾の東海岸、花蓮の町はずれには北緯23.5 度線が通り、それをたどるとメキシコ湾へつながる話、その航海の途中に出会ったマカジキとの格闘の物語。ひとつひとつの点がつながり、ひろがり、あるときふとわかる種明かしに心が躍ります。
(海をこえて届くポストカード)
島と本と仲間に出会う、小さな多島海の旅。
群島ククムイで、あなたの言葉の航海をはじめましょう。
“では、次の航海で!”
El Capitão
(文:風守Ψ西村慧)
多読アレゴリア2025夏 群島ククムイ
【定員】20名
【申込】https://shop.eel.co.jp/products/tadoku_allegoria_2025summer
【開講期間】2025年6月2日(月)~8月24日(日)
【申込締切】2025年5月26日(月)
【受講資格】どなたでも受講できます
【受講費】月額11,000円(税込)
※ クレジット払いのみ
※ 初月度分のみ購入時決済
以後毎月26日に翌月受講料を自動課金
例)2025夏申し込みの場合
購入時に2025年6月分を決済
2025年6月26日に2025年7月分、以後継続
募集開始★多読アレゴリア 2025・夏スタート!!!!!!!
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群島ククムイ
ククムイは奄美・沖縄のことばでぷっくり膨らんだ小さな
蕾のこと。船長の今福龍太さんから届くことばに導かれ想
像力の花を育む群島コミューン。その島影で航海模様を綴
るのが、遊びごころいっぱいの多彩なククムイストです。
コメント
1~3件/3件
2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。