この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

右手で稲を刈り、左手で田起こしをする。イシス編集学校における二期作は、休閑期間を設けない。終わってから次に向かうのではなく同時進行だ。
54[守]指導陣の初顔合わせは、53[守]の教室が閉じられた2024年9月8日に行われた。「感門之盟がまだなので、終わったーという感じがなくもう次の話」「先ほど最後の指南を返したのを見届けた」「明日の53[守]の集まりと開始時間を間違えた」。そんな声がZoom越しに飛び交う。それもそのはず、53[守]のボードメンバーは、全員54[守]も継続するのだ。しかしそれは単純な継続ではなく、より面白くなるための継続だ。
阿曽祐子、景山和浩、渡辺恒久の三番匠に石黒好美が加わり、四番匠体制へ。若林牧子、相部礼子、石井梨香は同朋衆として、別様の評価方法を試みる。新しい空気に触れさせることも忘れてはならない。追肥されたのは4名。もみにもまれて16[離]を退院して戻ってきた佐藤健太郎。新米のジャイ子に俳句新人賞と多彩な一倉広美と、41[花]で刀を振り回していた中村裕美。そして、あいだから世界をみていた奥本英宏が、38[守]以来17期ぶりに[守]の師範として帰ってきた。
変わらざるを得ない54[守]。継承すべきものと更新されるもの。ミーティングを終えたボードラウンジでは、交し合いが加速し、高騰中の米に負けないくらい、ボルテージが上がっている。引き続きの者と新たな者が鋤きこまれ、田植えの時を待つ。
▲高騰中の54[守]指導陣(提供:阿曽祐子)
◎粒不揃いな54守ボードメンバー◎
学匠 人たらしな「コシヒカリ」 鈴木康代
番匠 颯爽とかき回す「みずかがみ」 阿曽祐子
どんと構えて受け止める「ゆめぴりか」 景山和浩
新鮮さを忘れずふうわり包む「ヒノヒカリ」 渡辺恒久おちゃめに駆ける「ササニシキ」 石黒好美
師範 根っからのモノ言い「青天の霹靂」 角山祥道
ここぞを射貫く「はえぬき」 阿久津健
やわらかく物語る「ななつぼし」 福澤美穂子
軽やかに踊る「きぬむすめ」 北條玲子
元気にくいつく「ミルキークイーン」 紀平尚子
風格たっぷり「まっしぐら」 山崎智章
ひょうひょうと悪路を走る「雪若丸」 佐藤健太郎
醸し出てしまう落ち着き「あきたこまち」 奥本英宏
チャーミングに詠う「つや姫」 一倉広美
のせられてのっかる「新之助」 中村裕美同朋衆 さらっとおもてなす「いちほまれ」 若林牧子
優雅時々ずばっと「キヌヒカリ」 相部礼子
安心の多出没「ひとめぼれ」 石井梨香
文・アイキャッチ:54[守]師範 中村裕美
◆イシス編集学校 第54期[守]基本コース募集中!◆
稽古期間:2024年10月28日(月)~2025年2月9日(日)
詳細・申込:https://es.isis.ne.jp/course/syu
◆イシス編集学校 第53期[破]応用コース募集中!◆
稽古期間:2024年10月14日(月)~2025年2月9日(日)
詳細・申込:https://es.isis.ne.jp/course/ha
イシス編集学校 [守]チーム
編集学校の原風景であり稽古の原郷となる[守]。初めてイシス編集学校と出会う学衆と歩みつづける学匠、番匠、師範、ときどき師範代のチーム。鯉は竜になるか。
乱世には理想に燃える漢が現れる。 55[守]近大番に強い味方が加わった。その名もハンシ。「伴志」と書く。江戸時代の藩を支えた武士のようであり、志高く新時代を切り開いた幕末の志士のようでもある。近大番が、 […]
週刊キンダイ vol.004 ~近大はマグロだけじゃない!~
マグロだけが、近大ではない。 「近大マグロ」といえば、全国のスーパーに並び、飲食店で看板メニューになるほどのブランド。知名度は圧倒的だ。その名を冠した近大生だけの「マグロワンダフル教室」が、のびのびと稽古に励むのもう […]
日刊ゲンダイDIGITALに「本屋はワンダーランドだ!」というコラムがある。先日、イシス編集学校師範の植田フサ子が店主をする青熊書店が紹介された。活気ある商店街の横道にあるワンダーランド・青熊書店を見つけるとはお目が高 […]
「来週の会議、リアルですか?」 そんな会話が交わされるようになったのはコロナ以降のこと。かつて会議といえば“会議室に集まる”のが当たり前で、わざわざ「リアル」などと断る必要はなかった。 だが、Zoomなど […]
週刊キンダイ vol.001 ~あの大学がついに「編集工学科」設立?~
3年前の未来予想図が現実になった?! 大学の新学科として「編集工学科」が新設。 千夜千冊は2000夜間近、千夜千冊エディションは35冊目が発売。 EdistNightなう〜3年後、イシスは何を?(2022/02/25) […]
コメント
1~3件/3件
2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。