【第84回感門之盟】居合わせることの大切さ 〜 吉村林頭OPメッセージ

2024/09/14(土)16:18
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 松岡校長の逝去からおよそひと月。遊刊エディストには、多くの人から寄せられた追悼文が、毎日途切れることなく掲載されている。ISIS編集学校設立25周年に当たる2024年。番期同門祭と銘打った第84回感門之盟は、校長健在時の姿を連ねた映像で始まった。
 大井競馬場を正面に望むnetone valleyビルの会場には、これまでに編集学校を卒門した多くの人が集い、正面のスクリーンを見つめる。書棚から本を取り出す姿、煙草をくゆらして本にマーキングをする姿。多くの瞳の奥には、様々な想い出が蘇ったことだろう。


 それを引き取りステージに登壇したのは、学林局林頭の吉村。「これからの編集学校の姿をみせてもらいたい」と松岡校長から託された男である。「そこかしこに校長の面影が去来し、毎日思い出す」と声を絞り出す。松岡正剛に惚れ込み、間近で共に仕事をしてきた人の言葉は、聞く者の心を揺さぶる。
 今期の感門之盟のタイトル「番期同門祭」は、松岡校長が強く推したものだ。これまでに卒門した人が一堂に会したところを見たいという強い想いがあったと吉村は語る。「そこに居合わせることをなによりも大切にし、空気を共にしたところでしか体験できないものがある」と校長の言葉を引き、その想いを多くの人が汲んでくれていると言葉を結んだ。

 編集学校を自分の最高の作品と言っていた松岡校長。感門団、黒膜衆など、多くのボランティアに支えられ番期同門祭は開催を迎えた。このことがISIS編集学校の25年を表している。面影を偲び、編集学校の来し方行く末を思う二日間が幕を開けた。

 

 

  • 西宮・B・牧人

    編集的先達:エルヴィン・シュレーディンガー。アキバでの失恋をきっかけにイシスに入門した、コンピュータ・エンジニアにして、フラメンコ・ギタリスト。稽古の最中になぜかビーバーを自らのトーテムにすることを決意して、ミドルネーム「B」を名乗る。最近は脱コンビニ人間を志し、8kgのダイエットに成功。

コメント

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山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。