この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

「感門之盟で3日目は初めてだよね」
八田英子律師から壇上に招き入れられた松岡正剛校長は第一声にそう言った。「エディット・タイド」EDIT・TIDE(潮流)をテーマにした第83回感門之盟は本日、最終日を迎えた。今までは多読ジムスペシャルの修了は別で催されていたが今回の感門之盟では物語講座と多読ジムスペシャルも同じ感門として設えられた。
オープニングの八田律師と松岡校長の掛け合いの中で、校長からは「本を読む行為」について二つの問いが投げかけられた。
物語講座、多読ジムスペシャルは本を読むという行為がより編集契機になるように仕掛けられている。
■本を読むこと
本を読むインプットの体験は、自身でも気が付かないうちに言語感覚やコミュニケーション感覚、時には自身のおもかげに出会わせる。そして、言語という限られた表象でのアウトプットも時に魔術のように広がっていく不思議さをもっている。「本を読む行為って一体、何だろう。物語講座や多読ジムではそこに挑んでもらっている」と校長は語った。
■世界を読むこと
本を読むという行為がもっている可能性はそれだけではない。「我々は普段、知覚を使い、風景や表情や時には空気を読んで生活をしている。読むという行為をリーディングと考えれば、多様な見方が広がる」と語り、本を読むことは世界を読むことに通じるということを暗示した。
「本を読む行為」にフィーチャーした物語講座と多読ジムスペシャルの修了が3日目に加わった第83回感門之盟は「エディット・タイド」(潮流)の名の通り、世界を編集していこうというイシス編集学校の「潮目」を感じさせつつ、始まった。
(写真:福井千裕)
萩原ヒロキ
編集的先達:荘子。人材業界の会社員として、営業、労務管理、開発、マーケ、海外事業、広報、人材採用、人事企画を求められるまま次々に異動することも、風に吹かれるすすきや竹のごとき受容力の持ち主である由縁か。野口整体、アレクサンダーテクニーク、ゲシュタルト療法、ヒーリングなどの心身に関わる方法を学び、セラピストとしての活動歴もあり。
2000年6月1日に産声をあげたイシス編集学校。奇しくもそれから25年目にあたる2025年6月1日・52破伝習座が開かれた。応用コース[破]の指導陣による方法の学びと継承の場である。13時、イシスの本拠地・本楼の灯りは落 […]
◎速報◎一歩踏み出す構えをつくる【41[花]入伝式・田中所長メッセージ】
照りつける陽射しの強さに、若葉の艶やかな新緑が深緑へと様相を変えていく。そんな兆しを感じる5月の週末、イシス編集学校の師範代養成コースである花伝所の41期[花]入伝式が始まった。師範代を目指す第41期[花]入伝生と指導陣 […]
クリスマスに突如、現れた「シン・お笑い大惨寺」。イシスの国の片隅で異様な存在感を放っているその場所にただならぬ噂が・・・。どうやら出武将が第100番を迎えて1週間の春眠(=出題お休み期間)に入るらしい。そこを狙った悪だく […]
第83回感門之盟「EDIT TIDE」では今まで別に催されていた多読ジムスペシャルの読了式がDay3の中に設われる初めての試みとなった。2021年の第1回「大澤真幸を読む」を皮切りに始まった多読ジムスペシャルも今回の「鴻 […]
◎速報◎「言霊読み」をせよ 【輪読座】「富士谷御杖の言霊を読む」第四輪
横浜の自宅にいると揺れを感じた。ニュース速報を確認すると東京・神奈川の地震で、震源地は東京湾だという。東京湾が震源地とは珍しいな、と思い、一瞬、「ゴジラか」とアタマをかすめた1月28日、豪徳寺にはバジラが出現した。202 […]
コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。