波を起こして潮流にする〜Day3オープニング【83感門】

2024/03/23(土)17:45
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桜の開花予想は少し先に伸びたようだ。3月の終わりだというのに雪の予報が出た3月23日(土)に第83回感門之盟「Edit Tide」の3日目がひらかれた。早朝に降った冷たい雨があがった頃、陽の差し始めた豪徳寺のイシス館に物語講座の績了と多読ジムの読了を寿ぐための関係者が揃った。

 

八田律師が開会を宣言するために壇上に立つのも3回目だ。ブルー、ブラックとつづき、3日目はフェミニンなレースのドレスへと着替えて本楼とZOOMで集まった参加者に向けて呪言のことばを届ける。

「感門おめでとうございます」
本楼に集まったのは物語講座の叢衆と多読ジムスペシャルの読衆だが、ZOOMの向こう側の卒門、突破したばかりの学衆にも声をかける。

「みなさんにとっては編集道の先になるが、必ず通る道と思って参加いただきたい」と。

 

 

物語講座も多読ジムも本をたくさん読む。ことばの世界を出入りすると出会いが何度もあるだろう。物理的な出会いだけでなくメンタルな心の出会いもあるはずだ。それが刺激となり、編集道の分岐点や交差点になっていくはず。それを体験してきた叢衆と読衆を祝う績了式と読了式は、これから進もうとする学衆も魅了するスペシャルな3日目になるはずだとオープニングを宣言した。


この日の司会は森山師範だ。2012年に開催された松丸本舗で、ブックショップエディターとして本と人をつないだ。「資生堂のSEだったんだよね。本当は着物の名人だけれど足を怪我して今日は洋服での登場です」と松岡校長が声をかけると、その人はゆっくりと立ち位置を選び、マイクを持った。森山はトルクメニスタンの刺繍のエキゾチシズムを羽織り、怪我した足を山吹色のブーツに包む。七色に染まった髪の艶やかさはZOOMの画面でも目立ったようだ。「髪のグラデーションが素敵です」とチャットが届く。着物を封印した森山師範の踵にビビの入った足を守るブーツは、息子のお古をリメイクしたお手製だ。

 

 


「ほんまによう来てくださいました」と感門之盟の参加者を迎えた森山師範は、場をつくる人たちへ「この裏には感門団もリアル、ZOOM、イーてれチームがいます。互いに手を出し、キャッチしあって潮目を一緒に感じてほしいと思います」と目配せすることも忘れない。波を起こしてそれが繋がれば潮流になっていく。「最初のひと潮をどう作っていくかが大事です。寿ぎとお祝いに満ち溢れる一日にしましょう」と柔らかくことばを結んだ。

 

(写真:福井千裕)

 

  • 安田晶子

    編集的先達:バージニア・ウルフ。会計コンサルタントでありながら、42.195教室の師範代というマラソンランナー。ワーキングマザーとして2人の男子を育てあげ、10分で弁当、30分でフルコースをつくれる特技を持つ。タイに4年滞在中、途上国支援を通じて辿り着いた「日本のジェンダー課題」は人生のテーマ。

コメント

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山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。