この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

半年の編集稽古を寿ぐ第82回感門之盟の開催まで2日を切った。今期のテーマはエディット・デモンストレーション。校長松岡正剛が応用コース[破]の指導陣研鑽の場「伝習座」で放った、「[破]には “怪物”が必要だ」「今こそ編集モンスターを出しなさい」というメッセージに端を発している。
2023年9月14日夜、東京豪徳寺の本楼(ほんろう)では、感門之盟Day2の大イベント、P-1グランプリのリハーサルがはじまった。[守]→[破]の集大成となる[破]最後のお題「プランニング編集術」では、入門以来学んできたすべての編集術を駆使し、一人一人がスーパーミュージアムならぬハイパーミュージアムを企画する。その中から選りすぐりの3作品がP-1グランプリへノミネートされた。どうすれば校長のようにハイパーミュージアムがつくれるのか?学衆も師範代も師範も悩み迷いながら、この難題に取り組み、編集モンスターを出すべく型を使い倒してきた。
発表者のリハーサルに先立ち、司会者のリハーサルがはじまった。
「一般的な話はしないで」
「そこは言い切って」
編集モンスターの登場を求めるかのような厳しい指示が飛び交う。
「審査員紹介はもっとテンポ良く」2人の掛け合いに具体的な指示を出す吉村林頭。
普段は「らくだ」の異名を持つほど穏やかな白川師範、爽やかな笑顔が印象的な戸田師範の顔に緊張が走る。
ディレクションを受け止め、台本をチェックする戸田師範(左)と白川師範(左)。
校長松岡正剛からもディレクションが入る。「ハイパーミュージアムなムードを司会の2人がつくらないと」
ハイパーミュージアムという編集モンスターが飛び出すには、ハイパーな地づくりが欠かせない。SNSのように「いいね」を連呼するだけではないのである。
清水幸江
編集的先達:山田孝之。カラオケとおつまみと着物の三位一体はおまかせよ♪と公言。スナックのママのような得意手を誇るインテリアコーディネーターであり、仕舞い方編集者。ぽわ~っとした見た目ながら、ずばずばと切り込む鋭い物言いも魅力。
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コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。