この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

イシスに半年ぶりの祭りがやってくるーー。半年の編集稽古を寿ぐ第79回感門之盟の開催まで2日を切った。
2022年9月8日夜、東京豪徳寺の本楼(ほんろう)で、感門のリハーサルが進行中だ。今期の感門之盟のテーマは「イシス題バシティ」。編集稽古のキモとなる「お題」と、十人十色で多種多様な学衆や回答を象徴する「ダイバーシティ」を一種合成した、イシスならではのネーミング編集である。
今日のリハーサルでは、感門之盟初日に感門を寿ぐ当期指導陣と、ビデオやZoomで本楼と学衆をつなぐ黒膜衆が本楼に集った。
リハーサルの一コマ。ピンクパンツの衣笠純子が進行全体を統括し、間髪を入れずにディレクションを入れる。
スイッチング、Zoom、モニターを担当するテクニカルスタッフの黒膜衆(くろまくしゅう)。本楼とZoomのあいだをリアルタイムで編集していく。
松岡校長もリハーサルに同席。自らマイクをとり、コーナーごとにディレクションを入れていた。
「校長メッセージ」のリハをする松岡校長。入念なリハーサルを誰よりも欠かさないのが松岡校長である。
感門初日の司会をつとめる鈴木亮太[守]師範と尾島可奈子[守]師範。二人のリハーサルは終電ギリギリまでつづいた。
会場となる本楼には、ガチャガチャを擬いた題字に、イシスのお題を網羅した「Edit Root Map」も飾られている。デザインはどちらも編集工学研究所の穂積晴明が手がけた。
編集工学研究所の「玄関」にあたる「井寸房(せいすんぼう)」。向かって右手にメイン会場となる本楼がある。今回の感門之盟ではこの井寸房が何度か登場する。
明日は感門之盟2日目のリハーサルが開催予定である。
追伸:リハーサルが終了後も、黒膜衆によるカメラや音響のテストが真夜中過ぎまでつづいた。
【第79回感門之盟関連記事】
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上杉公志
編集的先達:パウル・ヒンデミット。前衛音楽の作編曲家で、感門のBGMも手がける。誠実が服をきたような人柄でMr.Honestyと呼ばれる。イシスを代表する細マッチョでトライアスロン出場を目指す。エディスト編集部メンバー。
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コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。