この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

感染するのは、ウイルスだけではない。イメージだって伝染するのだ。
新型ウイルスの変異が騒がれる昨今、2021年4月9日のエディットツアーのテーマに選ばれたのは「感染編集」だ。
名古屋在住の小島伸吾(7[守]風紋某某教室師範代)は、名古屋城のシンボルである金のシャチホコにふと目をとめた。キンシャチってそもそも何なのか。小島は、千夜千冊846夜にも取りあげられている国立民族学博物館名誉教授・立川武蔵氏とともに歴史を紐解いては目を丸くした。
名古屋の鯱鉾は、ユーラシアの幻獣を母にもち、父は京都祇園祭の長刀鉾かもしれない。しかもそれを初めて天守閣に掲げたのは織田信長だ。
どうして京とアジアの文化が融合したのか。なぜ、信長がそれを政治利用したのか。
その秘密は、編集術の型「一種合成」にヒントがあった。イメージのうつし、トランスヴィスタ(転景)を端緒に鯱鉾の意匠を読みとくことで、これまで語られたことがなかった「編集者信長」の思考法に迫る。
◆ ◆ ◆
NHK特番級の歴史スペクタクルへ誘うのは、曼名伽組組長・小島伸吾。自身の営むヴァンキ・コーヒーロースターから、美大仕込みの手描きイラストとをまじえて軽妙にナビゲートする。
サポートには、松岡正剛の詩歌論30冊以上をリミックスした『うたかたの国』を企画・編集し、日本文化への博識ぶりが群を抜く米山拓矢(22[守][破]まれびとフラクタル教室師範代)をむかえる。
さらなるテーブルコーチとして、まちあるき事業「まいまい京都」を運営し、まちを編集的に語らせたら天下無双の福田容子(27[守]28[破]推感まいまい同盟教室師範代)、大阪の下町で都への熱情にうなされている梅澤奈央(42[守][破]はじかみレモン教室師範代)が登場。
デザインや文化的意匠に興味のある方のみならず、硬直したイメージや息苦しい社会への違和感をもつ方も必聴のツアーだ。
文化がとっくに「特定の文化感染症」(たとえば資本主義感染症やコンプライアンス感染症)にかかりっきりになって、いつのまにかひどい“同質化症状”をきたしていることに突っ込めなくなっている状況を、いまこそ総点検するべきなのである。ーー松岡正剛
イシスフェスタ・エディットツアー【名古屋×京都】
京の山鉾はいかにして尾張の鯱鉾になったのかー伝染しの編集ロードー
■日時:2021年4月9日(金)19:30 – 21:00
■会場:Zoom(お申し込みの方に参加用URL、パスワードをお送りします)
■参加費:1,100円(税込)
■定員:先着12名様
■出演:小島伸吾、米山拓矢、福田容子、梅澤奈央
■お申し込み:https://shop.eel.co.jp/products/detail/276
梅澤奈央
編集的先達:平松洋子。ライティングよし、コミュニケーションよし、そして勇み足気味の突破力よし。イシスでも一二を争う負けん気の強さとしつこさで、講座のプロセスをメディア化するという開校以来20年手つかずだった難行を果たす。校長松岡正剛に「イシス初のジャーナリスト」と評された。
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コメント
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2025-06-10
この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。
2025-06-10
藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。
2025-06-06
音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。